【鹿島】3発快勝でACL初決勝T初戦突破に前進…鈴木、敵地第2戦も「点を取りに行く」

スポーツ報知
前半43分、こぼれ球を押し込み先制ゴールを決めた鹿島・鈴木(左は昌子=カメラ・酒井 悠一)

◆アジア・チャンピオンズリーグ ▽決勝トーナメント1回戦第1戦 鹿島3―1上海上港(9日・カシマスタジアム)

 日本勢で唯一、決勝トーナメント(T)に進んだ鹿島が上海上港(中国)を3―1で下し、8強入りへ前進した。FW鈴木優磨(22)の得点などで3点を奪い、DF昌子源(25)ら日本代表候補の守備陣が、元ブラジル代表MFオスカル(26)らを擁する相手攻撃陣を1点に抑えた。過去5度阻まれた決勝T初戦の壁を突破するべく、16日に上海で行われる第2戦に臨む。

 3発快勝で90分を戦い抜いた鹿島の選手たちに、笑顔は見られなかった。昌子が「今日の試合で前半が終了という位置付け。“後半”が終わってから試合を振り返りたい」と話せば、GK権も「優勝のためには、一歩一歩です」と表情を崩さなかった。満足げな選手は皆無。クラブ悲願の決勝T初戦突破を目指す鹿島イレブンは、すでに第2戦を見据えていた。

 立ち上がりから決定機を許した。前半9分、至近距離からのシュートを、全北現代(韓国)で2度のACLタイトルを獲得した権が左手に当て、わずかに枠外にはじき出す。後半には25分から3分間で6度の相手CK。いつゴールを奪われても仕方がない時間帯に、日本代表DF昌子、DF植田、MF三竿健らが体を張ってシュートを防ぎ続けた。

 決勝T初戦は過去5度(08~11、17年)全て敗退した“鬼門”。昨季も2戦合計2―2だったが、アウェーゴールの差で敗退した。当時の指揮官は、前年のリーグ優勝とクラブW杯の躍進に導いた石井正忠氏。リーグ戦も7位と健闘していたが、“4度目の正直”を逃した翌日、クラブは解任を決断した。

 ACLでの1敗は、鹿島にとってただの1敗ではない。J最多19冠の王者が、唯一手にしていない年間タイトル。W杯を控えた過密日程で「疲れすぎて眠れない」と話す主力選手がいても、1次リーグから主力を起用した。この日も5日の浦和戦(1〇0)から負傷したMFレオシルバとGKの2人を入れ替えただけ。それでも最後まで足を止める選手はいなかった。

 今大会、日本勢として中国チームから初勝利。敵地での第2戦へ向け、鈴木は「守りに入ったら勝てない。0―0の気持ちで点を取りに行く」と逃げ切ろうという気持ちはない。2点のリードではなく1失点の重みを知る選手たちが、歴史を塗り替える。(岡島 智哉)

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