オランダ代表の伝統「4―3―3」が消える!?クーマン新監督「変化が必要」

スポーツ報知

 オランダサッカー協会は6日、同国代表の新監督にロナルド・クーマン氏が就任したと発表した。14年ブラジルW杯ではスナイデルやロッベンらを中心に3位と結果を残した同国だが、世代交代に失敗。ロシアW杯欧州予選では、フランス、スウェーデンと同居するA組で3位に終わり、本大会出場を逃した。

 復権を目指す新監督は同日、取材に応じ「十分なタレントはそろっている。オランダは本大会に戻らないといけない」と決意を語った上で「変化が必要。私はシステム変更を好む監督だ」とも語った。伝統である「4―3―3」システムにも、こだわるつもりはないという。

 「4―3―3」はオランダの代名詞だった。74年の西ドイツ大会から採用すると、準優勝と躍進。続く78年のアルゼンチン大会でも準優勝。全員で守り、全員で攻めるという「トータルフットボール」で、サッカー界の潮流をガラリと変えた。

 78年大会から現在までの約40年、監督は何人も変わったが、基本布陣はほぼ変わらなかった。その流れがやっと変わると思われたのは、14年ブラジルW杯。ファンハール監督が、同W杯の欧州予選から主に「3―4―1―2」システムを採用。相手のパスを中盤で奪って、少ない手数で攻めるカウンターサッカーへの変貌を目指した。

 だが、名将と呼ばれたファンハール監督でさえ、同布陣を最後まで貫くことはできなかった。象徴的だったのが、ブラジルW杯決勝トーナメント1回戦のメキシコ戦。後半開始早々に先制点を許すと、あっさり「4―3―3」へと移行した。攻撃的な布陣が奏功して、2―1で逆転勝ち。選手たちが幼少期から慣れ親しんできた「伝統」を変えるのは、簡単ではないのだろう。

 ただ、クーマン氏なら歴史を変えられるのかもしれない。現役時代はスペイン1部のバルセロナなどで活躍。90年代前半、クライフ監督が指揮し「ドリームチーム」と呼ばれたバルセロナで、守備の要だった。たとえシステムが4バックから3バックに変わっても、センターバックとして常勝チームで躍動した。

 現役引退後は母国のアヤックス、フェイエノールト監督などを歴任。14~16年はイングランド1部のサウサンプトンを指揮して、日本代表DF吉田麻也を指導した経験も持つ。ただ当時はシステムなど二の次といった印象だった。15年の開幕2戦で合計5失点を喫すると突然、4バックから3バックに変えた。何よりも結果を優先する指揮官の下、吉田はこの年、左ストッパーやサイドバックなど様々なポジションを経験した。

 その後に指揮したエバートンでも守備を重視した印象だった。同代表の伝統的な攻撃的サッカーとは大きく異なる。「変化が必要」との予告通り、オランダは大きく変わるのだろうか。

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