【高校ラグビー】日本航空石川、大勝発進 CA流で8強前進

スポーツ報知
前半8分、相手選手を交わしてトライを決めた日本航空石川・粟津

◆第97回全国高校ラグビー第3日 ▽2回戦 日本航空石川66―7茗渓学園(30日、東大阪市・花園ラグビー場)

 2回戦16試合が行われ、石川県勢初のシード校となった日本航空石川は、茗渓学園(茨城)に66―7で勝利し、2年連続の3回戦進出を決めた。試合開始から積極的に前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ、前半12分までに4トライを奪って26―0と主導権を握ると、多彩な攻撃で計10トライを挙げて、1988年度大会優勝の強豪を圧倒した。来年1月1日の3回戦で、県勢初の8強進出をかけて石見智翠館(島根)と対戦する。

 日本航空石川が、花園優勝1回、4強2回の強豪を攻守で寄せつけず、シード校の底力を見せつけた。59点差の大勝にも、フッカー・田中大智主将(3年)は「FWで勝てると思ったので、これぐらい(66点)は取れるかなと考えてはいた」と事も無げに語った。

 FW戦で圧倒し、バックスも縦横無尽にトライを量産した。前半12分には、センター・粟津勇哉(3年)が60メートル独走トライ。自陣で3人を振り切り、敵陣22メートルライン手前で鋭く内側に切れ込んで最後の1人をかわした。「最後はパスの選択もあったが、相手の重心が外に向いていたのでいけると思った」。キッカーとしても10本中8本を成功させ「とりあえずノルマは達成ですね」と笑みをこぼした。

 小林学監督(48)が「チーム歴代最強」と認める“黄金世代”だ。現チームには、前回大会のレギュラー9人が残った。今年は週に一度、練習後にポジションごとに分かれて3年生が下級生を指導する「スクール」と呼ばれる時間も設けた。校長でもある小林監督が、併設する日本航空大学校で行われているキャビンアテンダント(CA)育成法を参考に、ラグビー部に取り入れた。指揮官は「教えられる側も成長できるし、教える側も基本に立ち返って気づくことがある」と、チーム全体の底上げを実感している。

 県勢初の8強進出をかけた3回戦へ向け、もう一つ、やるべきことがある。小林監督は、夏合宿時の部員集合写真を1000ピースのジグゾーパズルに加工。大会開幕前日の26日から作り始め、この日朝、あと1ピースを残すだけとなった。

 最後のピースは、田中主将が大切に持っている。「前日(29日)のミーティングで『勝って、もう1回戻ってきてから、完成させよう』と話した。宿舎に帰ってから、最後をはめます」。パズルが完成した時、元日決戦へ向けフィフティーンの心が一つになる。(勝田 成紀)

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