【Bリーグ】仙台の“小さな巨人”志村、引退セレモニーで「幸せ」

スポーツ報知
試合後、コートであいさつする志村

◆プロバスケットボール B2リーグ 福島89―84仙台(29日・ゼビオアリーナ仙台)

 東地区4位の仙台89ERSは同2位の福島ファイヤーボンズに84―89で敗戦。今季の同地区4位が確定したが、この試合後に引退セレモニーを行ったポイントガード(PG)志村雄彦(たけひこ、35)が5得点7アシストに加え、積極的な守備で3705人が集まった会場を大きく沸かせた。東地区1位の秋田ノーザンハピネッツはホーム最終戦で同3位の山形ワイヴァンズに83―73で競り勝った。

 3705人が詰めかけたゼビオアリーナ仙台で、スポットライトを浴びた志村の目に涙はなかった。試合後に行われた引退セレモニー。仙台で08年シーズンから10季プレーを続けた“小さな巨人”は「ここでこんなに幸せなキャリアを積めるとは思っていませんでした。実はまだやりたかったですけど、仙台を強くしたいという思いがあって次の道に進もうと思いました」とあいさつすると、大きな拍手と志村コールが起こった。

 仙台高、慶大で全国優勝を経験。160センチと小柄ながら、闘志あふれるプレーでチームを鼓舞するスタイルは、この試合でも健在だ。会場のゼビオアリーナが東日本大震災当時、着工前の更地だった頃から仙台でプレー。満員のスタンドを見て「ここが仙台のバスケの拠点になると当時話していたのを思い出した。若い選手にも満員のアリーナで勝つ喜びを感じてほしかった」と奮闘した。

 216センチの相手センター、ソロモン・アラビ(29)とマッチアップしても一歩も引かない守備を見せれば、相手のスキを突き、3度のスティールでチャンスも作った。5得点7アシスト。勝利は呼び込めなかったが、相手の森山知広ヘッドコーチ(34)も「小さな選手のお手本を示してくれた」とたたえた。

 セレモニーで涙がなかったのは「会場が暗くて(観客の)顔が見えなかったんですよ」と冗談ぽく笑った志村。引退後はチームのフロント入りが決まっているが、2日のホーム最終戦・青森戦(カメイ)を含め、現役生活は残り3試合ある。「引退式までやって、まだ試合があるのは怖いですけど、いいパフォーマンスをあと3試合やりたい」。現役では達成できなかった、仙台を日本一にする夢を実現するため、選手としての志村の強さを若い選手に見せつける。(遠藤 洋之)

 ◆志村 雄彦(しむら・たけひこ)1983年2月14日、仙台市生まれ。35歳。10歳からバスケットボールを始め、仙台高2、3年時に全国高校選抜優勝大会2連覇。慶大では4年時に全日本学生選手権で優勝。JBL(当時)・東芝を経て、2008年にbjリーグ(当時)・仙台89ERSに入団。今季、リーグ史上2人目となる個人通算2000アシストを達成。160センチ、65キロ。家族は玲子夫人(34)と長男・翔生(かい)ちゃん(1)。

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