石川佳純、涙のリベンジで「金」王手!コリアにストレート勝ち

スポーツ報知
石川とキムによる最終ゲームの得点経過

◆卓球 世界選手権団体戦第6日 ▽女子準決勝 日本3―0コリア(4日、スウェーデンハルムスタード・アリーナ)

 【4日=林直史】日本女子が歴史的な一戦を制し、決勝進出を決めた。韓国と北朝鮮による南北合同チーム「コリア」との準決勝に石川佳純(25)=全農=、伊藤美誠(17)=スターツ=、平野美宇(18)=日本生命=で臨み、2番手の石川が16年リオ五輪シングルス3回戦で敗れたキム・ソンイ(北朝鮮)に雪辱し3―0で勝利。日本時間5日午後9時30分開始の決勝で、47年ぶりの金メダルをかけて中国と対戦する。

 一度はグッと我慢した感情が勝利の瞬間、こみ上げてきた。石川は3番手の平野の勝利を見届けると、涙を拭った。1次リーグから7試合、全て3―0のストレート勝ちで決勝に進んだ。相手は中国に決まった。「決勝に行けてうれしくて泣いてるわけではなくて。いろんなハプニングがあった中で、みんなで乗り越えることができて。正直、すごくプレッシャーも感じていたので、ホッとして…」。歴史的な一戦、リオ五輪の雪辱。さまざまな感情を受け止め、乗り越えた喜びをかみしめた。

 3日、韓国と北朝鮮による南北合同チーム「コリア」結成が発表された。経験豊富な25歳でさえ「突然、決まったチームと対戦することになって、動揺は正直あった」と明かす。しかも、2番手で臨んだ試合で向かい合ったのはキム・ソンイだった。リオ五輪シングルス3回戦。終盤に右ふくらはぎがつって治療を求めたが認められず、フルゲームの末に敗れて泣き崩れた相手と因縁の再戦だった。

 2年前の敗戦後、カット主戦型への対策に徹底的に取り組んだ。同じ戦型の選手にも負けなくなった。この日は第1ゲームを先取したが、2―2と追いつかれた。最終ゲーム。台のエッジ(端)に当たって3度失点するなど不運も重なり、マッチポイントを3度も握られた。「苦しくて、心が折れそうになった」。それでも「リオでのすごく痛い経験が私の力になっている」。2年前に味わった悔しさを支えに戦い抜いた。

 15―14からエッジに当たったボールをしゃがみ込んで返すなど、執念を見せた13球目。相手の返球が外れると、両手を上げて喜びを爆発させた。直後に目頭が熱くなったが「まだ試合がある。ここで気を抜いちゃいけない」と歯を食いしばり、主将としてベンチで声を張り続けた。「心と心の勝負で、最後は自分を信じられた。リオの自分はしっかり克服できたかな」。挫折を乗り越え、47年ぶりの金メダルに挑む。

 ◆石川のリオ五輪のキム戦 自身の初戦だった女子シングルス3回戦でフルゲームの末に3―4で惜敗。第6ゲーム、6―4とリードしていた場面で右ふくらはぎがつった。「今まで(足をつる経験は)なかった。プレー中は気にならなかったけど、止まると痛い」(石川)。最終ゲームではタイムアウトを要求してテーピングしようとしたが、主審に続行可能と判断され認められず。シングルスで日本勢初のメダル獲得はお預けとなった。

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