東大アメフト部が支援法人設立…監督人事や資金の流れを透明化

スポーツ報知
一般社団法人を設立する東大アメリカンフットボール部

 東大アメリカンフットボール部が同部を支援する一般社団法人を設立することが10日、分かった。7月上旬に発表し、8月から本格的に活動を始める。任意団体の部活動を法人化した組織がサポートすることで、資金の流れなどの透明化を図り、監督人事なども適切に行うことができる。京大アメフト部も2016年8月に一般社団法人を設立しており、大学の部活動としては全国2例目。日大悪質タックル問題で大学部活動のあり方が問われる中、関係者は「部活動の新しいモデルに」と期待する。

 大学スポーツの運営に注目が集まる中、東大アメフト部は部活動を支援する法人を設立し、ガバナンスの改善を図る。

 正式名称は「一般社団法人 東大ウォリアーズクラブ」。OB会長で元東大総長の小宮山宏氏、住宅設備大手「LIXILグループ」社長などを務めた藤森義明氏(現・日本オラクル会長)やチーム関係者らが法人化に向けた計画を練り上げた。代表理事には、東大出身でスターバックスコーヒージャパンや日本マクドナルドなどで要職を務めた好本一郎氏(65)が就任する。

 理事会は、好本氏や三沢英生監督ら3人で構成する予定。それぞれが寄付・法人管理、デベロップメント、チーム運営の役割を担い、権限を明確化する。好本氏は「大学スポーツでいろいろな問題が起こる中で、今の体制のままで良いのか、と。大学においても指導者の育成や選手の安全対策を行うことは必須です」と指摘。「そのためには資金力も必要ですし、組織としての信用力を高めるために、法人を設立することが一番良かった」と話した。

 大学部活動の多くは監督人事をOB会などが決めていた。東大の計画では、OB・OG会、父母会やファンクラブの代表者で、理事や監督の任免を決定できる。

 事業計画や予算を承認し、部が適切な運営をしているか、監視する役割も担う。これまで活動費は部費や大学からの助成金、OBらの寄付金などを基に個人が資金管理を行っていた。社団法人になることで、法人口座が開設でき、幅広くオープンに寄付金やスポンサー収入など自主財源を集めることが可能になる。

ファンクラブ設立 ファンクラブも新たに設立する。1000人以上の出身者やファンが部活を支援できる仕組みを構築する。組織横断的に、全体を巻き込むことで、アメフト部を中心に一体感が生まれる。「東大アメフト部を、より魅力あるチームにしたい」と好本氏は意気込んだ。

 ◆東大アメフト部(チーム名・ウォリアーズ)1957年9月、創部。約180人が所属する東大内最大規模の部活。96年にプレーオフ初進出、「甲子園」まであと2勝に迫った。01年には、日大から初勝利(1部2位)。京大卒で日本代表ヘッドコーチ(HC)だった森清之氏がHC、東大出身の三沢英生氏(現・株式会社ドーム常務)が監督を務める。今季は1部リーグTOP8の下に位置するBIG8に所属。

 ◆好本 一郎(よしもと・いちろう)1953年5月29日、東京都生まれ。65歳。東大法学部卒業後、米大手コンサル会社「ベイン・アンド・カンパニー」などを経て、スターバックス、ジョンソン&ジョンソン、日本マクドナルドなどで要職を歴任。17年2月から「おそうじ本舗」で知られる長谷川ホールディングス社長を務めた。

 ◆一般社団法人 営利を目的としない「非営利法人」のことで、業界団体や学校などの任意団体を組織化する場合に有効。2人以上の社員がいれば自己資金がなくても設立できる。代表理事を置き、社員には個人のほか法人が入ることもできる。原則として事業は自由で、従業員も雇用できる。理事会、監事、会計監査人らが運営する。

スポーツ

×