井上尚弥、V7 日本人初の4団体統一へ「来年バンタムに」

スポーツ報知
3回、ボワイヨ(右)のボディーへ強烈な左フックを打ち込みダウンを奪う井上尚(カメラ・堺 恒志)

◆プロボクシング ダブル世界戦 ▽WBO世界スーパーフライ級(52・1キロ以下)タイトルマッチ ○井上尚弥(3回1分40秒 TKO)ヨアン・ボワイヨ(30日、神奈川県・横浜文化体育館)

 WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24)=大橋=が、圧巻のKO劇で7度目の防衛に成功した。同級6位ヨアン・ボワイヨ(29)=フランス=に3回1分40秒TKO勝ちをおさめた。圧倒的な実力を示しV7まで防衛を重ねた“怪物”は、今回で同階級を“卒業”。来年はバンタム級での世界3階級制覇を目指す。井上の戦績は15勝(13KO)、ボワイヨは41勝(26KO)5敗1無効試合となった。(観衆4000)

 圧勝劇で2017年を締めくくっても井上尚はほとんど笑わなかった。勝って当たり前、といわんばかりの表情で仁王立ちしていた。「こういう言い方をしたら失礼だが、もっとヒリヒリする試合をしたかった」と余裕で振り返った。

 “怪物”ぶりをまざまざと見せつけた。初回終盤、この試合でほぼ初めて力を入れて放ったパンチと言っていい左フックを振るうと、ボワイヨは大の字に倒れ先制ダウンを奪った。逃げる挑戦者の戦意をさらに喪失させたのは3回だ。強烈な左ボディーを見舞うと、相手は自らキャンバスに膝をついた。最後は右、左とボディーをぶち込みこの日4度目のダウン。するとレフェリーがストップを宣告した。

 倒しても笑顔がほとんどなかったが「ひとつの試合をクリアした喜びはあるが、ここで大はしゃぎしているようでは先が見えない」と大物感あふれるコメント。これで世界戦では9KO目。具志堅用高、山中慎介に並んで日本歴代2位となった。

 パンチをほぼもらっていないのに、右目上が腫れていた。「朝起きたら腫れていて病院に行った。ものもらいです」と苦笑い。試合中も「ぼやけてちょっと見えにくかった」というアクシデントに見舞われながら圧倒。また、10月頃に米国のニューヨーク・タイムズ紙が取材に来たという。陣営の大橋秀行会長(52)は「わざわざ米国から。そんなこと聞いたことない」と目を丸くしたが、もはや世界中から熱視線を浴びる存在となった。

 リング上では「来年、バンタム級に行きたい」と改めて3階級制覇を狙うと宣言した。井上尚も名前を挙げた、WBO王者で“世界戦最短11秒KO男”のゾラニ・テテ(南アフリカ)ら、胸を躍らせる選手もいる。「チャンスがあればどこでも。王者になって統一戦などをやって、4団体まとめちゃえ。そんな勢いですよ」。10月にパパとなって初の勝利は、バンタム級、そして日本人初の4団体統一王者という新たな挑戦への始まりだ。(三須 慶太)

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年4月10日、神奈川・座間市生まれ。24歳。相模原青陵高でアマ7冠など通算75勝(48KO・RSC)6敗。2012年10月にプロデビューし、13年8月に日本ライトフライ級王座奪取。同12月に東洋太平洋同級王座獲得。14年4月にデビュー6戦目でWBC世界ライトフライ級王座を獲得(初防衛後に返上)。同年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を奪取し、2階級制覇。身長164・7センチの右ボクサーファイター。家族は咲弥夫人と1男。

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