家賃5万円の世界王者・木村が初防衛…トリプル世界戦

スポーツ報知
9回TKO勝利で初防衛に成功した木村は跳び上がりって喜ぶ(カメラ・堺 恒志)

 ◆プロボクシング・トリプル世界戦 ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦(31日、東京・大田区体育館) ○王者・木村翔―同級1位・五十嵐俊幸●

 WBO世界フライ級王者の木村翔(29)=青木=が、同級1位の元WBC世界王者・五十嵐俊幸(33)=帝拳=を9回2分34秒TKOで挑戦を退け、初防衛に成功した。ワンツーからの連打を浴びせてレフェリーが試合をストップさせた。木村の戦績は16勝(9KO)1敗2分け。4年8か月ぶりの世界王座返り咲きに失敗した五十嵐は23勝(12KO)3敗3分け。

 足を使い下がりながらカウンターを狙ってくる挑戦者に対し、木村はひたすら突進。空振りお構いなしにしつこくパンチを繰り出した。五十嵐は3回に木村の有効打で左まぶた、6回に偶然のバッティングで右まぶたをカット。木村も7回に五十嵐の有効打で右まぶたを切り、最後は壮絶な流血戦の末にベルトを守りきった。

 木村は7月に中国で、12年ロンドン五輪2連覇の鄒市明(ゾウ・シミン)を11回TKOで破る大金星。日本人では36年ぶり6人目となる敵地での世界奪取を果たし、大晦日のリングでベルトを死守した。中国の英雄に勝ち、中国では卓球・福原愛に次ぐ有名人となったが、現在も瓶ビール運びのアルバイトで生活費を稼ぎ、家賃は5万円。王者は「今日は僕の力が試される試合だと思ってた。去年の大みそかから考えると、本当に1年で人生ってこんなにも変わるんだって今、実感しています」と語った。

 13年4月に元3階級制覇の八重樫東(大橋)に敗れて以来、世界王座返り咲きを目指した五十嵐は試合後「勝てなかったら引退と決めていた。悔いはないです」と現役引退を表明した。

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