村田諒太、4・15「カメレオン」38歳と初防衛戦「一晩たりともベルト渡したくない」

スポーツ報知
初防衛戦発表会見で、チャンピオンベルトを手にポーズを決める村田諒太(カメラ・堺 恒志)

 プロボクシングWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=が、キャリア最大規模の会場でV1を狙う。帝拳ジムは22日に都内で会見を開き、4月15日に同級10位エマヌエーレ・ブランダムラ(38)=イタリア=と初防衛戦(報知新聞社後援)を行うと発表。昨年5月の世界初挑戦時(有明コロシアム)を上回る1万6000人収容の横浜アリーナを満員にし、ミドル級の日本人初の世界王座防衛を目指す。

 大観衆の視線が胸を熱くする。昨年10月に奪ったベルトを前に、村田は横浜アリーナで戦う自分を頭に浮かべた。「すごく大きな会場でできるのはうれしい。この試合に全てをささげようと思う」。ミドル級で日本人初の世界王者となった竹原慎二が、1996年に初防衛に失敗した場所。その竹原以来の日本人同級王者・村田が、初防衛の快挙を飾るには絶好の舞台だ。

 帝拳ジムの本田明彦会長(70)は「(村田には)今までで一番大きくなる」と、プロ転向後では“村田史上最大”の会場規模だと明かした。1万1000人が集結した昨年5月の世界初挑戦(東京・有明コロシアム)を上回る。さらに村田にとって横浜アリーナは、2000年のWBA世界ライト級タイトルマッチ、畑山隆則―坂本博之が行われた会場という印象が強い。「畑山さんの人気に火がついたような試合ですよね。非常に思い入れ深い試合だった。ボクシングを始めた頃の(印象に残った)大きな会場」。大声援を夢に描いてサンドバッグを打った青春時代。中学3年の時に憧れた大舞台までたどり着いた。

 テクニカルな38歳の相手には警戒感を示した。ブランダムラは29戦27勝ながら、KOは5回だけ。映像を見た村田は「技術で勝ってきた選手。やりにくい。僕はガンガン来てくれた方がいい」と吐露した。「カメレオンのようなスタイルとよく言われる。相手に合わせて戦えるよ」と不敵に笑う挑戦者。村田はアマ時代に欧州選手との対戦経験はあるが、イタリア人は初めてだ。「10~12回を戦うすべを知っている。警戒しないといけない」と気を引き締めながらも、端正なマスクの相手に「俳優さんかと思うくらい見た目では勝てない」と会見場の笑いを誘う余裕も見せた。

 昨年末に届いたチャンピオンベルトを初披露。この日は雪の中、「この後、会見なのになぁ」と言いつつベルトを大事に抱え、スーツ姿で子どもを保育園に送った。イベントなどで大忙しだったが、31日から沖縄へ2次合宿に向かう。「ベルトは一晩たりとも渡したくない」。将来、5万人の観客で東京ドームを埋めるのも夢の一つ。降り積もる大雪が解けそうなほど、王者・村田は燃えている。(浜田 洋平)

 ◆10位ブランダムラ「相手に合わせて戦える」
 ブランダムラは対応力の高さを強調した。16年12月に欧州ミドル級王座を獲得し38歳で世界初挑戦。「1曲流してくれたら、それに合わせてここでも踊れるよ」と競技以外の柔軟性をアピール。「ボクシングはイタリアで高貴なアートとされる。高貴なものとして(試合を)成功できたら」と独特の表現で意気込んだが「カメレオン」の異名に、村田は「例えがステキ。日本人にはない例え」と笑った。

 ◆エマヌエーレ・ブランダムラ 1979年12月19日、イタリア・ウディネ生まれ。38歳。2007年4月にプロデビューし、11年10月にWBC地中海ミドル級王座、12年6月にWBCインターナショナル同級シルバー王座、14年1月にEBU―EU同級王座を獲得。それぞれ防衛せずに返上し、16年12月に欧州同級王座を獲得。17年6月の初防衛後に返上。身長178センチの右ボクサーファイター。戦績は29戦27勝(5KO)2敗。

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