【神撃 再び】〈下〉ネリ減量失敗も 山中慎介には勝利への道筋が見えている

2018年3月1日10時0分  スポーツ報知
  • ネリ(右)が見つめる前で余裕の計量を見せ、ガッツポーズする山中(カメラ・能登谷 博明)

 ◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▼WBC世界バンタム級タイトルマッチ 前王者・ルイス・ネリ―同級1位・山中慎介(1日、東京・両国国技館)

 ネリは減量に失敗したが、山中の勝利への道筋はできている。昨年8月15日のプロ初黒星が、山中を進化させた。約6か月半、悩み抜いた末に12度もの防衛を支えたスタイルに変化を加えた。練りに練ったネリの連打対策は、中間距離からあえて飛び込む逆転の発想から生まれた。

 ネリが失態を犯したとはいえ、倒すことには変わりない。勝敗を分けるのは、回転の効いた連打の攻略だ。山中は前回の敗因を「下半身が死んだ状態だった。そのままだと、ガードだけでは対応できない」と分析した。巧みなフットワークで距離をとる持ち味が消えていた。「見栄えとして問題があった」というようにパンチが効いたように見え、タオルが飛んだ。

 「あのまま続けても、ああいう場面があったかもしれない」と素直に受け止め、防御を徹底的に磨いた。従来の跳びはねるようにかわすのではなく、ややガードを上げ、股関節を柔らかく使って動く。「浮かないように意識すると、スタンスが広くなってしまう。足がスムーズに動かない」。以前より幅を狭めて、どっしりとした姿勢を意識した。中間距離で飛んでくる連打に、あえて懐に入り込むスパーを反復。距離を置いて戦う山中には、珍しい光景だ。

 近距離からボディー、アッパー、最大の武器である左ストレートをたたき込む。「連打の間に隙がある。あの場で一発、いつでも打てる練習はしてきた。下半身が死ななければ、基本的に何でもできる」。以前より左腕を折りたたんで打つことで、極端に威力が落ちることもない。過去にないスタイルだが、「今までのものを失ってはいけない」と従来の距離をとって左ストレートをぶち込む形も軸とする。その上で、「これ(接近戦)をしたい場面は来る」と戦い方の幅を広げて進化した。

 「負けてボクシングをしていない人の意見も聞くようになった。周りの意見を聞くようになったし、聞きたくなった。ジムの人は、毎日僕を見ていて一番信頼できる」。遠近自在となった神の左が、“失格王者”をマットに這(は)わす。(浜田 洋平)=おわり=

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