ファイトマネー満額受領で帰るネリ陣営「また日本で戦いたい」とケロリ

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ネリ

◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBC世界バンタム級タイトルマッチ ○ルイス・ネリ(2回TKO)山中慎介●(1日、東京・両国国技館)

 元WBC世界バンタム級王者・山中慎介(35)=帝拳ジム=が、現役引退を表明した。前同級王者ルイス・ネリ(23)=メキシコ=に2回1分3秒でTKO負け。前日計量で大幅超過した相手との体重差や体力のハンデを背負った試合。昨年8月にV13を阻まれ、ドーピングなど悪質な行為を繰り返した相手に雪辱はならなかった。山中の戦績は27勝(19KO)2敗2分け、ネリは26勝(20KO)。計量失敗のネリは王座剥奪のため、王座は空位のまま。(観衆8500)

 ネリはリング上で胸をたたいて勝利を誇示した。バンタム級リミットの53.5キロまでの減量と戦った山中に対し、体重超過して試合に臨んだネリは「(昨年8月に)私にKO負けしている山中からは恐怖が見て取れた。だから容赦なくパンチを打ち続けた」と、まるで現役王者かのように力を誇示した。

 昨夏に山中から王座奪取した直後のドーピング疑惑、今回の調印式でのメキシコ製グラブ拒否、そして王座剥奪と騒動を繰り返した。体重超過について「山中や日本のファンに申し訳ない」と謝罪はしたものの、「私は無敗を守った。失った王座は勝って取り戻せばいい。またバンタム級で、また日本で戦いたい」とケロリ。

 何のペナルティーも受けず、現状では体重超過しての“やり得試合”。階級制で行うボクシングの根幹を揺るがす失態を犯しながら、ファイトマネーを満額受け取って帰るネリ陣営の姿は、現在のボクシング界が抱える問題を浮かび上がらせた。(田村 龍一)

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