山中竜也「進化した右」連打でV1 勝ち続ければ京口紘人との統一戦も

スポーツ報知
3回、山中竜(左)のパンチがカジェロスの顔面を捉える(カメラ・石田 順平)

◆プロボクシング ▽WBO世界ミニマム級(47・6キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇山中竜也(TKO 8回終了)モイセス・カジェロス●(18日・神戸ポートピアホテル)

 WBO世界ミニマム級戦は王者・山中竜也(22)=真正=が、同級4位のモイセス・カジェロス(28)=メキシコ=に8回終了TKO勝ちし初防衛に成功した。WBA世界ライトフライ級王座決定戦は同級2位・小西伶弥(24)=真正=が同級1位のカルロス・カニサレス(25)=ベネズエラ=に判定負けしプロ初黒星。通算成績は山中竜が16勝(5KO)2敗、カジェロスが28勝(16KO)8敗1分け。小西が15勝(5KO)1敗、カニサレスが20勝(16KO)1分け。(観衆2500)

 チャンピオンベルトを腰に戻した山中竜がリング上で肩車され、喜びを爆発させた。8回終了時、カジェロスが戦意喪失で棄権。「ホッとした。試合のために動いて下さった方々がいつも以上の数だったので」と胸をなで下ろした。

 リングサイドを見た。女手ひとつで6人きょうだいを育ててくれた母・理恵さん(46)へ「母さん、いつもありがとう。4月の誕生日おめでとう」。少し早いが、V1というプレゼントを届けた。

 初防衛を果たして家族を三重・ナガシマスパーランドへ連れていくと公言していた。試合3日前。尊敬する元世界3階級王者の長谷川穂積氏(37)から「旅費、俺が出したる。竜也はまだ何も証明していないから重圧を感じなくていい」とエール。テレビ解説席の長谷川氏に成長した姿を見せた。

 勝ち続ければ、同階級のIBF王者・京口紘人(24)=ワタナベ=との統一戦も現実味を帯びる。「強い王者と認められてからやりたい」。世界王座12度防衛の山中慎介(帝拳)は1日に引退を表明したが、頼もしい山中がもう一人いる。(田村 龍一)

 ◆母・理恵さん「私の方が緊張」

 山中竜ら6人きょうだいを女手ひとつで育てた母・理恵さん(46)は、感無量の表情で長男のV1を見届けた。「うれしかった。私の方が緊張していたかも。素人なので、どっちが勝っているのかも分からなかった」と安ど。試合1か月前から息子宅に泊まり込み、減量食を作ってサポート。山中竜が以前、元世界2階級王者・田中恒成(畑中)とスパーリングをした際、「ボコボコにされたらどうしよう」と弱気になると、「あんた、まがりなりにも世界王者やろ。しっかり」と活を入れた。母はこれからもチャンピオンロードを陰ながら支えていく。

 ◆山中 竜也(やまなか・りゅうや)1995年4月11日、大阪・堺市生まれ。22歳。ボクシング漫画「はじめの一歩」に影響を受け、小学6年から地元のボクシング教室で競技を始める。中学2年で真正ジム入り。高校には進まず12年6月、プロデビュー。16年11月、東洋太平洋ミニマム級王座獲得。17年8月、WBO世界同級王座奪取。身長162センチの右ボクサーファイター。家族は母・理恵さん(46)と弟3人、妹2人。弟・大貴さん(19)は元プロボクサー。

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