山中慎介さん、村田のガードは世界一 「神の左」の視点で評論家デビュー

スポーツ報知
計量を一発クリアし顔を合わせる、王者・村田諒太(左)と挑戦者のエマヌエーレ・ブランダムラ

◆報知新聞社後援 プロボクシング ダブル世界戦▽WBA世界ミドル級(72・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 村田諒太―エマヌエーレ・ブランダムラ(15日、神奈川・横浜アリーナ)

 元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏(35)が14日、スポーツ報知の評論家デビューを果たした。南京都高(現・京都広学館高)の3学年後輩で、帝拳ジムでともに汗を流した村田の初防衛戦を占った。会場で観戦予定の山中氏は16日のスポーツ報知でも「神の左」の視点で解説する。

 僕は練習も試合も見てきたので、精神面も含めた村田の実力を周り以上に認めている。昔、マスボクシング(力を入れずに打つスパーリング)で構え合ったことがあった。プレッシャー(圧力)のかけ方がうまいし、あの堅いガードを軽く、当たり前のようにやっている。観客も含めてすごいなと思わせない。

 僕が同じ階級だと考えても、あのプレッシャーに耐えるのはきつい。村田を倒すには、常に足を動かすことが絶対に必要。12ラウンドは短くないし、(自分が)コーナーに詰められる場面を想像してしまう。まず倒せるイメージがないし、村田が倒されるイメージも湧かない。

 あの堅いガードを作り上げることは本当に難しいんです。ガードの上からでも効くパンチを持つ重量級なのに崩せないのは、積み重ねてきたものがあるから。体の強さは大前提で全体の筋力、体幹、バランスも必要。一緒に合宿してきたから分かるけど(体の強さが)抜けている。世界のミドル級の強豪を探しても、そこは絶対に負けない。

 僕は今まで格下とされる選手と試合をすることもあった。その時は周りの厳しい目が一番つらい。「勝って当たり前」みたいな。どう倒すかしか期待されない。「どっちが勝つんだ」というプレッシャー(重圧)よりも、僕は嫌だった。村田は期待される人間なので、それがずっと付いてくる。いかに集中して、最高の状態に持っていけるか。

 試合ではみんながワクワクするような、先のビッグマッチを見たくなるくらいの差を見せつけてほしい。(ゴロフキンら強豪と)やったら楽しみやな、ってくらいの快勝を期待してます。僕は引退して1か月以上たったけど、たくさんお仕事をいただいて忙しくさせてもらっている。うれしいことです。新たにチャレンジすることも多い。不安もあるけど、前向きに考えていきます。

 ◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年10月11日、滋賀・湖南市生まれ。35歳。南京都高1年でボクシングを始め、専大を経て2006年1月にプロデビュー。10年6月に日本バンタム級王座奪取。11年11月にWBC世界同級王座獲得。日本歴代2位の12戦連続防衛後、17年8月のルイス・ネリとのV13戦で王座陥落。18年3月にネリとの再起戦に敗れて現役引退。170センチの左ボクサーファイター。家族は妻と1男1女。戦績は27勝(19KO)2敗2分け。

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