拳四朗一撃右ボディー2回KO、一発も被弾せず「秘孔」でV3

スポーツ報知
2回KO勝利で3度目の防衛に成功した拳四朗はガッツポーズで喜んだ(カメラ・堺 恒志)

◆プロボクシング ダブル世界戦▽WBC世界ライトフライ級(48・9キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ○拳四朗(2回1分58秒 KO)ガニガン・ロペス●(25日、東京・大田区総合体育館)

 WBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(26)=BMB=が3度目の防衛に成功した。同級1位ガニガン・ロペス(36)=メキシコ=に2回1分58秒、鮮烈なボディーストレートでKO勝ち。左膝痛を抱えながらも調整を続け、試合日程が1か月先延ばしになった運も味方に昨年5月に王座奪取した相手との再戦で返り討ちにした。拳四朗の戦績は13勝(7KO)、ロペスは34勝(19KO)8敗となった。

 一発でリングに沈めた。拳四朗の強烈な右ボディーストレートに、ロペスは前のめりにダウン。1年前は僅差の判定勝ちだった相手に一発も被弾せず、2回1分58秒で無傷のKO勝ち。両手でピースサインを作り「いやー、もう気持ち良すぎて、たまんないっす」。ベビーフェースから笑顔がはじけた。

 まさに漫画のような一撃必殺だった。拳四朗の名前の由来は、漫画「北斗の拳」の主人公・ケンシロウから。入場曲もアニメの主題歌「愛をとりもどせ!」だ。拳四朗は今回の一撃について、「あれは秘孔を突きました」とニヤリ。原作でケンシロウらが駆使する北斗神拳には、人間の体にあるとされる急所のようなものを突いて、内部から破裂させる奥義がある。実際は米国から呼び寄せたトレーナーの助言でボディーの打ち方を工夫したものだが、父・永(ひさし)会長も、これも作品中の言葉を使い「一子相伝です」とけむに巻いた。

 当初、試合は4月15日の村田諒太のトリプル世界戦の前座として発表されていた。実はこの日に向け、2月の茅ケ崎合宿でロードを走り込んでいたが、量の多さに左膝が悲鳴を上げていた。曲げれば痛み、1か月以上も走れなかったが、興行やテレビ中継の都合で1か月延期。「4月に試合があったらあったでやれていたが、ラッキーだった」。膝は完治。春に行った17日間の2度のフィリピン合宿で同じサウスポーを相手に150回のスパーリングを敢行し、対策を徹底した。

 普段から「有名になりたい」と公言し、SNSのフォロワー数も気にする王者は、自身2度目の地上波生中継もモチベーションに変えていた。人気アップへ宣言通りのKOで決めたものの、「うれしいけど、早く終わりすぎたから映る時間が減った…」と思わぬ反省も。だが、これで3度目の防衛に成功。王者でいる限り、目立つチャンスはこれからもある。(林 直史)

 ◆拳 四朗(けん・しろう)本名・寺地拳四朗。1992年1月6日、京都・城陽市生まれ。26歳。名前の由来は漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウ。中学3年でボクシングを始め、奈良朱雀高を経て関大4年時に国体ライトフライ級優勝。2014年8月プロデビュー。17年5月、WBC世界同級王座奪取。身長164・5センチの右ボクサーファイター。父は元日本ミドル級、元東洋太平洋ライトヘビー級王者の寺地永(ひさし)BMBジム会長。

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