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箱根駅伝密着カメラマンを救った“オムツ”の存在

2017年1月11日15時2分  スポーツ報知
  • 中継車の後ろを走行するカメラマンを乗せたトラック
  • 襷を9区池田生成 に渡す青学大・下田裕太

 お正月に誰もが一度は見たことのあるスポーツと言えば箱根駅伝だろう。そんな箱根駅伝をスタートからゴールまでの約5時間半も写真を撮り続けている場所がある。テレビ中継車の後方を同じ速さで走る屋根のないトラックの荷台だ。

 選手の表情がよく見え、監督車からの声もよく聞こえる。箱根駅伝ファンからすれば特等席だと思う人もいるかもしれないが、カメラマンとしてはとても過酷な現場だ。

 今年の箱根駅伝は天気がよく暖かかったが、吹きさらしのトラックの荷台は本当に寒かった。そんな環境で、ゴールまでひたすら写真を撮り続け、パソコンで速報用の写真を送信しなければならない。

 1区、2区は順位の入れ替わりが激しく特に集中力も必要とした。しかも、ただ先頭を走っている選手を撮っていれば良いわけではなく、遅れ始めた選手やコースの名所や沿道で応援する人、各大学ののぼり旗などを絡めて撮らなければならない。

 3区の途中からはゴールまで、独走した首位の青山学院大以外の選手を撮ることはなくなったが、次々と変わり続ける風景と選手の表情を撮ることで疲労困憊(こんぱい)した。

 撮影以外でも大変なことがある。“尿意”との戦いだ。8時スタートの30分前には、トラックに乗りこむ。往路優勝を果たした青学大の優勝タイムが5時間33分45秒。乗り込んだら最後、約6時間はトイレに行くことはできない。“途中下車”は許されない。 対策として元旦の乾杯もセーブし、前日から水分をなるべく摂らないようにした。大観衆の沿道が100キロ続く。不測の事態の不安は拭いきれずにオムツを着用した。

 貨物用のトラックだ。道路の振動をモロに受け、刺激となって下半身へ伝わっていく。

 小田原を越えた辺りで初めて尿意を感じた。箱根の山に入りカーブが多くなると揺れに加えて、トラックの速度が一定ではなく、上りでゆっくり、下りで速くなった。

 耐えるのがつらくなってきた。標高が上がるにつれて気温も下がった。最悪の状況が頭をよぎったが、ここで下半身に意識をやると、意外にオムツが温かいことに気づいた。

 その温かさに助けられ無事に選手とともに芦ノ湖まで“完走”出来た。

 選手は歯を食いしばり東京箱根間の100キロ。タスキをつないで走っている。

 カメラマンも同じように、歯を食いしばり?過酷な状況で撮影しているのだ。(記者コラム 写真部・中島 傑)

箱根駅伝
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