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ミャンマーの国技ラウェイに挑んだIGF奥田が見せたプロレスの可能性…金曜8時のプロレスコラム

2017年2月17日8時0分  スポーツ報知
  • ミャンマーの国技ラウェイに挑戦した奥田啓介

 16日に後楽園ホールで開催された「ラウェイ イン ジャパン2~レガシー~」を取材した。地上最も過激な格闘技といわれるミャンマーの国技ラウェイに、プロレスラーの奥田啓介(25)=IGF=が挑んだのだ。

 奥田は少年時代、アントニオ猪木参院議員(73)ゆかりの空手流派「寛水流」で鍛え、拓大レスリング部を経て、猪木が主宰するプロレス団体IGFでデビュー。4月に旗揚げされるIGFの新団体NEWの主力メンバーだ。「プロレスが一番過激。プロレス最強を証明する」と宣言して未知のリングに上がった。

 ジャン・コー(26)との対戦(75キロ契約)は、相手の打撃によって左目が大きく腫れ、4回開始前に無念のドクターストップ(TKO負け)。だが、プロ選手としての見せ場を毎回作ってみせた。1回のフロントスープレックスは「一本勝ち」と言ってもいいほど豪快に決まった。2回には右バックスピンブローでダウンを奪った。3回には左からの浴びせ蹴り。裸足の蹴りで相手の顔面をパチンと鳴らせ、超満員の観衆は大いに沸いた。この日の6試合で最も“見せる”プロの試合をした選手に奥田を認定したい。かつて、佐山聡が猪木の命を受けて、キックボクシングのリングに上がり、マーク・コステロにダウンさせられながらも何度も立ち上がってKOを阻止(判定負け)した格闘技大戦争(1977年)を思い出した。

 ラウェイの公式ルールは3分5回戦(インターバル2分)。グラブを着用せずバンテージのみの立ち技格闘技で、かみつき、指で目をえぐる、突く、爪でひっかく、首を絞める、意図的な金的攻撃などの反則をのぞいて何でもあり。KO、TKO(1回3ダウンまたは累計4ダウン)で勝敗を決め、判定がないためフルラウンドで決着が付かなければすべて引き分け。

 ダウンしてもセコンドが1回だけ「タイム」を申告でき、2分のインターバルがもらえる独特のルールがあり、一発KOが難しい。足がもつれた選手をセコンドが無理やりコーナーに連れ戻すシーンが何度もあった。ダメージを蓄積しながら試合が続行されるから、選手寿命は短いだろう。ミャンマーの出場選手は18歳~26歳だった(日本選手は奥田以外は30代)。

 ここまでやらなくてもいい。相手にダメージを与え続ける殺伐とした試合を見て、プロレスというジャンルの可能性を見た気がした。奥田がやったような緊迫感の中での見せ場のある攻防。これに最後はドラマチックなフィニッシュホールドが決まれば、猪木が唱えてきた“格闘芸術”と言えそうな気がする。

 NEWの顧問・藤原喜明組長(67)が「殺気のあるプロレス」を唱えた時、奥田は「それでお客さんは来るでしょうか」と純粋に質問していた。“プ(ロレス)女子”というファン層が加わった今だからだ。明るいプロレスだけではダメ、かといって殺気ばかりでもいけない。奥田は、新しいプロレスを体現できる実力を秘めている。(酒井 隆之)

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