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東京五輪で日本に金メダルをもたらすか…女子マラソン安藤の「忍者走り」

2017年3月15日16時0分  スポーツ報知
  • ロンドン世界陸上代表に内定した名古屋ウィメンズマラソンから一夜明けて取材に応じた安藤友香(左は里内正幸コーチ、右は清田真央)

 22歳のシンデレラガールには、少々不釣り合いなネーミングの「忍者走り」。初マラソンとなった名古屋ウィメンズマラソンで、日本歴代4位の2時間21分36秒を出した安藤友香(スズキ浜松AC)の代名詞だ。

 腕をだらりと下げてほとんど動かさず、脚筋力で推進力を得る。リオ五輪銀メダルのE・キルワ(バーレーン)と互角に戦えた独特の走法が、五輪の女子マラソンでは04年アテネ大会の野口みずきさん(38)以来となる金メダルをもたらすかもしれない。

 忍者走りに初めて目を奪われたのは1年ほど前。16年5月のぎふ清流ハーフだった。お目当てはリオ五輪代表に内定してメダルを期待されていた福士加代子(34)=ワコール=。安藤は2か月前(16年3月)の世界ハーフ(英カーディフ)で日本人トップ(10位)だった選手―という程度の印象だ。

 レースが始まって驚いた。どう見ても脚だけで走っているようなフォームなのに、終わってみれば福士と3秒差の大接戦。ダイヤの原石は確かにキラリと光っていたから、度肝を抜く快走にも驚きというより納得感の方が強い。

 元々、上半身と下半身を連動させて走るのが不得意。試行錯誤の末に編み出したのが、フォームの原点だ。00年シドニー五輪金メダルの高橋尚子さん(44)は「独特だけど、マラソンに特化した走り。上下動が少なくて動きの効率が良く、後半にガクッと落ちない」と分析した。

 「マラソンは30キロから」。日本陸連は世界で戦う条件として、前半より後半のタイムを上げる「ネガティブ・スプリット」を重視している。今大会の安藤は、前半が1時間10分21秒、後半落ちたものの1時間11分15秒で走った。日本陸連の尾県貢専務理事は「後半戦えるペースを保つという意味で、彼女なりのネガティブ・スプリットだと解釈したい」と評価した。「世界で戦える」という太鼓判を押してもらったに等しい。

 ピッチ走法の一種とはいえ、決して主流の走り方ではない。学生時代から何度も矯正されそうになった。豊川高卒業後も2チームを渡り歩き、3チーム目の現所属で里内正幸コーチ(40)に出会った。マラソン主体がスズキ浜松ACの強化方針。里内コーチは「安藤は天才型。マラソンを思い描く上で、無駄のないフォームを意識していた。その子その子の走りがある」と忍者走りを受け入れ、才能を伸ばしてくれた。安藤も「これが完成ではない。全体的にもっと自分の力を引き出せる走り方を極めたい」と改良を加え、ロンドン世界陸上、そして東京五輪の金メダルロードを駆けるつもりだ。(記者コラム・細野 友司)

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