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13歳中1女子プロレスラー・愛海の青春…シングル1勝へ1日5時間トレ

2017年9月12日16時0分  スポーツ報知
  • アーサ米夏(左)にドロップキックを見舞う愛海(7月21日の仙台デビュー戦で)

 ちょっとしたカルチャーショックだった。「大阪に住んでいたとき、バラモン兄弟を見て『カッコイイな』って、プロレスが好きになりました」。ン? バラモン兄弟? ファンク兄弟(ザ・ファンクス)なら知ってるけど…。今やサブカルチャーと化したインディープロレスの話をされ、理解不能。深いジェネレーションギャップを感じた。

 話の相手は、センダイガールズプロレスリング(仙女)の愛海(まなみ)選手(13)。大人に交じってプロレスラーとして活動している中1の女の子だ。昨年10月、仙台サンプラザ大会で、練習生としてリング上であいさつしたのが、当時小6の山添愛海さんだった。そのときは、まだ小学生だということと、デビュー前に辞めちゃうかも…と思い、記事にするのは控えた。

 しかし、こちらの心配をよそに、愛海選手は今年4月から「プレデビュー戦」として5分1本勝負のエキシビションマッチで腕を上げ、7月には往年の大レスラー・ジャガー横田(56)相手に正式デビューを果たした。驚異の43歳差対決。このマッチメイクが決まったとき、仙女の里村明衣子代表(37)は興奮気味に言った。「相手がジャガーさんと伝えても、動じる様子が全然なかった。あの子、大物ですよ」。いや、それって単にジャガーさんのことを知らないだけだろう、と心の中で突っ込んだ。本人は後に「ジャガーさんは、本当にレジェンドという感じがしました。ボディースラム(投げ技)とかすごかった」と答えていたが…。

 その後、シングルマッチを数試合経験。第1試合の10分1本勝負で、対戦相手も、本人も、胸板へのヒジ打ちや寝技、ドロップキックといった基本技で試合を組み立てる。まだ13歳で体も出来上がっていないとあって、頭からマットに叩きつけるような投げは“暗黙の禁止技”になっている模様。その点はちょっぴり安心だ。攻めの時も受けの時も自然に声が出て、表情も豊かに。シングルマッチ全敗ながら、少しずつ成長しているようだ。「ドロップキックがきれいに決まった時はうれしい。ロープに飛んで5連発決めたときもあります」

 当然ながら、愛海選手のJC(女子中学生)ライフは普通の生徒とは違う。授業が終わると、部活や友達とおしゃべりすることなく、仙台市内の仙女道場へ。夏休み中はほぼ毎日、1日約5時間のトレーニングを行っていた。「練習は全てがキツイ。でも、もっと強くなりたい気持ちの方が大きいから頑張れます」

 キツイのは試合や練習だけではない。か細い声で記者の質問に答えていると、先輩レスラーの橋本千紘(25)から声が飛ぶ。「もっと大きな声で、はっきり答えて!」「背筋伸ばして!」。橋本は日大レスリング部の女子主将を務めた、バリバリの体育会系。里村代表と愛海は、親子ほど年が離れている。濃密で上下関係が厳しい人間関係の中に居るのは大変だろう。

 「仙女入門時、お母さんは『自分の好きな道を行け』という感じだったけど、おじいちゃんとおばあちゃんには『ケガをされては困る』と反対された。でも、自分がやりたいことだから」という愛海選手。おとなしそうな見た目とは裏腹に、芯は強そうだ。とにかく、まずは体と受け身、基本技の習得が最優先。焦らず、一歩一歩、階段を上ってほしい。(記者コラム・須貝 徹)

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