•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

中大復活の立役者、2年生主将・舟津は箱根駅伝が嫌い?

2017年10月19日16時0分  スポーツ報知
  • 「箱根駅伝は嫌い」という衝撃の言葉を残した中大陸上部・長距離部門の2年生主将、舟津彰馬
  • 予選会、17キロ付近を力走する中大・舟津彰馬(右、149)と堀尾謙介(146)
  • 予選会3位で本戦出場を決めCポーズで喜ぶ中大の選手たち(前列右から3人目は主将の舟津彰馬、4人目は堀尾謙介)

 箱根駅伝を取材して20年以上。これまで1000人を超える学生ランナーを取材してきたが、これほど強いインパクトの言葉は初めて聞いた。

 「箱根駅伝は嫌いです」

 第94回箱根駅伝予選会(10月14日)で2年ぶり91回目の出場を決めた中大の2年生主将・舟津彰馬が、大会の約2週間前に発したコメントだ。

 9月27日早朝。予選会前としては最後となる25キロ走が東京・日野市の中大選手寮近くの浅川沿いで行われた。練習後、舟津に予選会や本戦への意気込みなどを聞いた。名門校の主将は誤解を恐れることなく、独特の表現で箱根駅伝への思いを明かした。

 「箱根駅伝は嫌いです。正確に言えば『箱根駅伝がすべて』という風潮が嫌いです。僕はトラック競技で世界を目指しています。ただ、それも箱根駅伝で結果を残してこそ説得力を持つと思う。必ず、予選会を突破して本戦を走りたい」

 1920年、箱根駅伝は「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げて創設された。箱根駅伝は決してゴールではないし、すべてではない。舟津の考えは箱根駅伝の理念と合致している。その真意は納得できるものだった。

 世界陸上マラソン日本代表3回。世界に挑戦し続けた中大の藤原正和監督(36)も「自分の考えをしっかり持っている」と舟津の姿勢を高く評価する。

 もちろん、舟津は箱根駅伝を軽視しているわけではない。「中大は箱根駅伝に出続けていなければならないチーム。今回は新たな歴史の一歩にします。シード権(10位以内)を取って、来季につなげたい。僕は集団で競り勝つことを得意としているので、1区を走って区間賞を狙いたい。チームとしても個人として結果を追い求めます」と情熱的なコメントが並んだ。

 1年前の予選会。中大は次点の11位で落選した。大会最長の連続出場記録は87でストップ。1925年(大正14年)から脈々とつながれてきた伝統の赤いタスキが途切れた。中大はチームとして出場の道が絶たれたが、堀尾謙介(3年)が関東学生連合の2区を走った。堀尾の付き添いを務めた舟津は、大観衆で盛り上がる鶴見中継所で号泣した。

 涙の理由を尋ねた。やはりインパクトのある言葉が返ってきた。

 「箱根駅伝の魅力というか、魔力を感じました」

 魔力か。それは過熱する報道に対する警鐘にも聞こえる。

 世界で通用する選手を育成する―。箱根駅伝の理念を忘れずに取材に当たらなければならない。改めて肝に銘じた。(記者コラム・竹内 達朗)

箱根駅伝
  • 楽天SocialNewsに投稿!
コラム
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ