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信じられない春日野親方の言い分「もう辞めてますから」…相撲協会の残念な体質

2018年1月26日16時0分  スポーツ報知
  • 春日野親方

 驚くのも、あきれるのも通り越して、もはや言葉がみつからない。新たに発覚した大相撲春日野部屋の傷害事件。2014年9月、所属部屋の兄弟子が弟弟子に対して殴る、蹴るの暴行を加え、全治1年6か月の重傷を負わせ、16年6月に懲役3年執行猶予4年の有罪判決を受けていたという。

 なぜ今まで明らかにして来なかったのか。元関脇・栃乃和歌の春日野親方は「もう辞めてますから」と答えたが、この言いぐさはないだろう。加害者も被害者もすでに角界を離れてはいるが、双方が部屋所属の力士だった時に起きた事件ではないか。被害者が傷害致死で亡くなっていたとしても「もう辞めてますから」と同じことを言うのだろうか。

 信じがたいのは、この不祥事は、日本相撲協会に報告されていたということだ。2007年6月に起きた時津風部屋の力士暴行死事件を受けて、協会は再発防止策をまとめたが、実はその7年後に再発してしまっていたわけだが、社会に対して伏せておくべき案件だろうか。公表しなかった理由を協会の担当者は「個人情報の観点から取り立てて公表するものではない」と説明した。

 公表すべきだったことは加害者と被害者の実名などの個人情報ではない。相撲部屋で暴行事件が繰り返されてしまったという事実ではないか。実名は伏せた上で、起きてしまったことを公表すべきだったのではないか。2005年に施行された個人情報保護法は「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護すること」を目的としている。保護の対象はあくまで「個人」であって「日本相撲協会」でも「春日野部屋」でもない。この法案が成立する時に最も懸念されたのが、公企業などの不祥事を隠蔽するときの口実として利用されることだったのを思い出す。

 私は輪湖時代以来の相撲ファン。貴乃花晩年期から朝青龍全盛期にかけては相撲担当記者をさせてもらい、記者としても育ててくれたのは角界だと思っている。今でも相撲は大好きだ。だからこそ、いつまでたっても社会常識の逸脱から修正できない協会の体質が残念でならない。(記者コラム・甲斐 毅彦)

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