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山中の無念さを最も理解する男・村田の初防衛戦に期待!KO劇でモヤモヤを吹き飛ばせ

2018年3月13日16時0分  スポーツ報知
  • 初防衛戦に向け気合の村田諒太

 昨年までボクシング担当だったこともあり、3月1日の山中慎介(35)=帝拳=とルイス・ネリ(23)=メキシコ=のWBC世界バンタム級タイトルマッチを取材した。経緯や結果は周知のことだろうが、前日計量でリミットを大幅超過し王座を剥奪されたネリに、山中は2回TKOで敗れた。圧倒的不利な条件だったが、山中は「体重は関係なく、相手が強かった。それだけ。試合には納得はしている」と潔かった。

 それでも当然、やりきれない思いはあっただろう。普段の山中は本当に温厚だ。試合が近くなれば、どんな競技の選手でもピリピリする。過酷な減量を強いられるボクサーならなおさらだ。山中のV11~13戦を担当として取材したが、ピリピリした様子をあまり感じたことはない。

 紙面でも書かせていただいたが、11度目の防衛戦だった2016年9月のアンセルモ・モレノ(パナマ)との再戦を数日後に控えたときのことだ。取材が一通り終わると、なぜかマイホームの話題で盛り上がった。モレノは1年前に2―1の辛勝だった強敵。そんな状況下でも気さくに会話に応じてくれることに驚いたものだ。そんな山中が、ネリの計量失敗に思わず「ふざけんな」と声を荒らげ、悔し涙を流したのだ。その無念さを思うと、本当にやるせない気持ちになる。

 やりきれない思いは周囲も同じだ。南京都高(現・京都広学館高)、同門の後輩のWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)も怒っていた。「体重が重い相手と試合するのは僕だって怖い。でも逃げるわけにはいかない中で戦った山中先輩は格好よかった」と、先輩をたたえた。

 ネリの犯した行為に話が及ぶと「ドーピングもそうだが、ルールを厳正化しないとだめ。二度と(試合を)できないとか。そうしないと、どうやったってしこりが残る。民事訴訟を起こせるくらいにしないと。そこまでやらないと変な流れになる」と語気を強めた。

 次第に関西弁になり「あかん、感情的になるとどんどん関西弁になる」。涙で目を赤く腫らせた山中が律義に関係者に頭を下げながら会場を後にするときには、村田は「先輩、行って下さい。でないと(自分が)やばい」と声をかけた。今にも流れ出しそうな涙を必死に押しとどめていたのだろう。村田にとっても、それだけ無念だったのだ。

 私は2010年初場所から16年初場所まで相撲を、その後は17年末までボクシングを担当していた。今年からは山梨県版の担当として主にサッカーJ2のヴァンフォーレ甲府の取材をしている。チームスポーツを担当するのは9年ぶりだ。その中でボクシングを取材して、個人競技でもチームで戦っている―。当然といえば当然だが、村田の無念そうな表情を見てあらためてそう感じた1日だった。その村田は4月15日に初防衛戦を控える。このモヤモヤ感を吹き飛ばすKO劇に期待したい。(記者コラム・三須 慶太)

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