日本陸連が伊東浩司・強化委員長の辞任を承認 後任は麻場一徳氏

スポーツ報知
16年、桐生(左)と握手を交わす伊東強化委員長

 日本陸連は19日、都内で理事会を開催し、伊東浩司・強化委員長(47)の辞任を承認した。伊東氏は陸連を通じ、教授として勤務する甲南大の職務に専念することなどを任期途中での辞任理由に挙げた。後任は、16年9月まで強化委員長を務めていた麻場一徳氏(57)が再任。20年東京五輪まで残り3年を切る中、麻場氏は伊東体制を極力維持しながら「施策をしっかり東京まで引き継ぎたい」と所信を述べた。

 男子100メートル前日本記録保持者の伊東氏が、志半ばで強化トップを去った。理事会で慰留の声が2、3度と上がる中、退任が承認された。尾県貢・専務理事は「12月10日に辞任の意向を聞いた。残念だし、サポート不足もあったかもしれない」。後任の麻場氏は豊富な経験を買われ、15年北京世陸惨敗で辞任した原田康弘氏の後を継いで以来、2度目の就任。「またやると想像していなかったが、体制や施策をしっかり東京(五輪)まで引き継ぎたい」と神妙な表情を浮かべた。

 この日の理事会を校務で欠席した伊東氏は、陸連を通じ〈1〉甲南大の職務と両立が難しい〈2〉ロンドン世陸男子400メートルリレー銅、桐生祥秀の日本初9秒台など、強化に一区切りをつける実績が出た〈3〉一歩引いた立場から状況を観察し、強化に貢献したい、の3点を辞任理由とした。今月中旬のコーチ会議では、尾県専務が高血圧など体調不良も理由として挙げていたという。伊東氏の手腕を信頼するコーチ陣も、体調を心配して辞任を受け入れざるを得なかった。「現在(体調は)大丈夫だが、当時は忙しくなることへ不安があったのだと思う」と尾県専務は話す。

 原田氏以降、過去2年で3度目の強化トップ交代。異例ではあるが、選手はぶれない。桐生は「陸連が変わっても、僕が結果を出して盛り上げれば良い」。リレー銅メンバーの藤光謙司(31)=ゼンリン=も「体制は時代に合わせて変わるもの。陸連の判断の中で頑張りたい」と力を込めた。麻場新体制の元、東京五輪へ強化の歩みは止められない。(細野 友司)

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