【箱根駅伝出場21チーム紹介〈12〉】国士舘大・藤江、地元藤沢でリベンジ

スポーツ報知
活躍を誓って元気よくジャンプする国士舘大・藤江(カメラ・清水 武)

◆国士舘大 前回20位(2年連続46回目)=出雲、全日本不出場=

 前回、3年ぶりに出場した国士舘大は、全く勝負にならず最下位に沈んだ。19位の日大に18分40秒の大差をつけられた惨敗を糧に、チーム全員が意識改革。目標を「予選会突破」から「シード権(10位以内)獲得」に切り替えた。前回、箱根山中で失速し、5区最下位に終わった藤江千紘(3年)は、地元の神奈川・藤沢市を通過する3区出陣を熱望。シード獲得に貢献することを誓った。

 高鳴る鼓動は自信の表れだ。藤沢市・鵠沼(くげぬま)で育った藤江の実家は、3、8区のコースから約2キロ。「地元で走りたい。応援してもらってアドレナリンが出る。それで乗り越えたい」。自身2度目の箱根に向けて燃えている。

 苦い記憶は忘れていない。初出場の前回大会は5区を任されたが、19位に53秒差の1時間20分5秒で区間最下位。最後尾で受けたタスキを、そのままつなぐだけで終わった。直後の成人式では、テレビ観戦した地元の友人たちに「箱根を走れただけですごい!」とチヤホヤされたが、「悔しくて複雑だった。いい結果を見てもらいたかった」と心から笑えなかった。「もう区間20番で走らない」の決意の言葉と区間順位、タイムを記した箱根のゼッケン。寮の自室のドアに貼りつけ、毎日、目に焼きつけてから朝練習に向かった。

 これまで歩んだ道で思いをぶつけたい。戸塚―平塚間のコースは小学3年で陸上を始めた時から、父・健吾さんと一緒に走った場所だ。道路の傾斜、湘南大橋で吹く風の強さも熟知している。毎年、沿道から眺めたランナーは憧れの的。2009年(第85回大会)の平塚中継所では、1時間1分40秒の3区の区間新記録(当時、現在2位)をマークした早大・竹沢健介に握手をしてもらった。「走った直後なのに余裕そうな顔で、すごいと思った。箱根を目指そう」。当時の記憶は色あせていない。今度は自分が輝く姿を見せる。

 小学生時代に自身が所属した陸上チーム「藤沢リトルスクール」の後輩約40人、友人や高校時代の恩師などが観戦予定。「一人でもいいので、どこかのチームを抜いているところを見せられたら。昔、練習したことを思い出しながら走りたい」。自分の原点がリベンジの舞台になる。(浜田 洋平)

 ◆戦力分析

 前々回の予選会は、わずか10秒差で本戦出場を逃した。歴史的惜敗を乗り越えて3年ぶりに出場した前回は本戦で勝負する力は残っておらず最下位。優勝した青学大とは実に45分8秒差、距離にして15キロ近い大差をつけられた。「前回は予選会突破だけで満足してしまった」と添田正美監督(40)は反省を込めて話す。

 今回は予選会を7位通過した後、千葉・富津市、静岡・島田市で2回の強化合宿を行い、30キロ走を3回、敢行した。予選会個人11位のエース・住吉が“切り込み隊長”。「本当は5区を走りたいけど、チームのために1区で流れをつくりたい」と意気込む。2区は主将の八巻。前回、大苦戦した5、6区は新たな選手で臨む。

 28年ぶりのシード権獲得に向けて、八巻は「全員が100%の力を出さなければ届かない」と、厳しい戦いに挑む覚悟を示した。

 ◆藤江 千紘(ふじえ・ちひろ)1997年1月7日、神奈川・藤沢市生まれ。20歳。藤沢翔陵高で長距離ランナーだった父・健吾さんの影響で小3から競技を始める。湘南工科大付高を経て、2015年に国士舘大体育学部に入学。将来の夢はマラソンで五輪出場。好きなタレントは女優・新垣結衣(29)。家族は両親と姉、兄、妹。170センチ、50キロ。

 ◆国士舘大 1956年創部。箱根駅伝は57年に初出場。総合の最高成績は64、67年の3位。往路最高2位、復路最高3位。出雲駅伝は90年の7位、全日本大学駅伝は71年の2位が最高。男子長距離部員は65人。タスキの色は赤と青。主なOBはアテネ五輪柔道男子100キロ超級金メダルの鈴木桂治、アテネ五輪男子サッカー代表の山本昌邦監督ら。

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