【スポーツ庁・鈴木大地長官に聞く】「J―STARプロジェクト」来年度は8~9月募集

スポーツ報知
第3ステージで合宿を行い参加者と記念撮影する鈴木長官(後列中央=公益財団法人日本体育協会提供)

 スポーツ庁の鈴木大地長官(50)の単独インタビュー後編。今年度から始まった「タレント発掘事業(J―STARプロジェクト)」は同庁肝いりのプロジェクトだ。来年度は募集時期をこれまでの6~7月から、高校野球地方大会終了後の8~9月に変更する予定であることを明かした。野球からやり投げへの転向も!? 2020年東京五輪へ、球児たちの挑戦を呼びかけた。(高木 恵、林 直史)

 ―長官から見たスポーツの最大の魅力とは?

 鈴木「いきなりですか…(笑い)。不可能なことを可能にしながら自分の限界を超えていく。人間としての可能性の追求。自信とか、自己肯定といったものをもたらします。同時にそれが他者に勇気や感動を与えたり。ソウル五輪後に『ありがとうございます』という手紙をいただいたことがあります。人生を変えるくらいの力があるわけです」

 ―地元での五輪に出たかった?

 「そうですね。日本は100を超える金メダルを取っていますけど、やはり『東洋の魔女』の金メダルは、いまだに伝説として語り継がれています。20年の金メダルは国民の記憶にも残るでしょう。記憶と記録を残せる大会。うらやましいです。引退してこういう形で関われることは本当幸せだなと思います」

 ―タレント発掘事業(J―STARプロジェクト)は可能性がありそう。

 「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト、略してJ―STARプロジェクト。全国のスポーツタレントの宝を探し出すべく、今年度から始まりました。出てきてくれた時点ですべてが宝ですよ。原石じゃないですか。それを磨き上げていくという事業。適材適所に、この選手はこれに向いているというようなことを絞りながら。効果的な強化になります」

 ―初年度を経て、来年への課題は?

 「募集時期ですね。今年は6月から7月に募集したんですが、高校野球は全国大会に向けた地方大会をやっている真っ最中。プロジェクトには目もくれない若い人たちが多かった。今年はいったんは夢に破れた形になった若い人たちが、次の新しい目標に向かってチャレンジしやすいよう、地方大会が終わった8月や9月に募集をかけていくことを考えています」

 ―募集時期の変更。高校球児からの転向も増えそうだ。

 「野球には運動神経がいい人たち、体力のある人たち、体格のいい人たちが集まっている。そうした原石からの積極的な応募が、これからの課題になっていきます。すでに高野連など関係各所にも出向きまして、協力を要請しております」

 ―現状はまだ高校球児からの応募は少ない?

 「実はほとんど応募がなかったです。もちろん6月7月の地方大会の前ですので難しいというのはよくわかります。これから『我こそは』と自発的にやってやろう、一旗揚げてやろう、このままじゃ終われないぞっていう、そういう若い人たちのチャレンジを期待しています」

 ―東京五輪に間に合う可能性は?

 「例えば、パラリンピックのパワーリフティングは、全日本選手権に出場する選手も出ています。まだ分母が少ないですから、即代表となれる可能性もあります」

 ―競技人口が少ない競技は特に可能性が高まる。

 「大いにあると思う。ボート、7人制ラグビー、やり投げとか。やり投げは野球選手だったらいけるのかな、と。遠投が得意だけど球を捕れない人とか。バッティングは不得意だけど、投げるのは得意な人はいるかもしれませんし。現に(アテネ、北京五輪やり投げ代表の)村上幸史も野球選手でしたしね」

 ―選択の幅も増えていく。

 「今までの日本の部活動やスポーツ活動は1種目が主流。マルチな感じで若い人たちが自分の可能性を追求する流れにつながっていけばいい。野球をやりながら、やり投げの大会に出てもいいと思いますし。非常に僕らも面白いですし、やっている本人が一番面白いと思うんですよ。他にもやれるよ、みたいな」

 ―長官は他にやってみたかった競技は。

 「私? 私はですね…。えー、尺八奏者ですかね。今やってますけれど」

 ―…。本当ですか?

 「一応やってますよ。誰も知らないと思いますけど」

 ―息抜きにですか?

 「そうです」

 ―話が脱線しました…。

 「水泳選手は心肺機能が強いので、長距離はみんな速いんですよ。私もマラソン大会で優勝していますし。もっといろん可能性を視野に入れていれば、トライアスロンとかいけたと思うし、今だったらこうしても面白いのかなっていうのがたくさんある。そういうのを今の若い人たちにどんどんやってもらって。まだ実績はないけど、夢のあるプロジェクトです」

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