【箱根駅伝】青学大「泣いて笑って青くなる」中村祐紀がイラストで仲間激励

スポーツ報知
ハーモニー大作戦を後方支援する、中村祐紀が描いたイラスト

 第94回東京箱根間往復大学駅伝競走は2018年1月2、3日、東京・千代田区大手町の読売新聞社前~神奈川・箱根町の芦ノ湖を往復する10区間217・1キロで行われる。前年王者の青学大、今季の出雲駅伝優勝の東海大、前哨戦の全日本大学駅伝を制した神奈川大の「3強」を中心に優勝争いが展開されそうだ。「ハーモニー大作戦」を掲げ、4連覇を目指す青学大の原晋監督(50)は「ハーモニー指数90%」と自信。16人の登録選手から外れた中村祐紀(4年)は得意のイラストにメッセージを込め、仲間を激励した。

 決戦まで1週間。青学大のハーモニー大作戦は着実に進行している。「仕上がりは、これまで優勝してきたチームと遜色ない。ハーモニー指数は90%です」。原監督は笑顔で話す。

 目指すは史上6校目の4連覇。過去、3連覇した5校はいずれも4連覇以上を果たした【注1】。青学大にとっては吉兆のデータだが、原監督はそれに頼らない。昨季(16年度)、学生駅伝3冠は末尾が0年度の時しか達成できないというジンクスを破った【注2】。縁起のいいデータも悪いデータも過去の話。指揮官が重要視するのは現在だ。

 「東海大、神奈川大は強い。東洋大も強敵。往路は順大も怖い。大混戦ですよ。今回の箱根駅伝は1月2、3日に調子のピークを合わせたチームが勝つ。凸凹駅伝では勝てない。まさにハーモニーが求められる」

 登録メンバーから惜しくも外れた中村祐は、得意のイラストでハーモニー大作戦を後方支援する。魂の力作には選手に加え“指揮者”の原監督、マネジャーらも描かれている。練習用のユニホームで泣いているのは、登録メンバーを決めるポイント練習で後れを取り、最後の箱根出場が絶たれた中村祐自身だ。

 箱根駅伝のハーモニーは出場選手10人、あるいは登録メンバー16人だけで奏でるものではない。メンバーから外れた選手、マネジャー、監督、コーチ、スタッフの総力が問われる。「チーム全員でオーケストラのような美しいハーモニーを奏でることができれば必ず優勝できる」と原監督。青学大に、いい足音が響き始めている。(竹内 達朗)

 【注1】連勝は中大の6連覇(1959~64年)が最多。日体大が5連覇(69~73年)。4連覇は日大(35~38年)、順大(86~89年)、駒大(2002~05年)が達成。3連覇で止まったチームはない。
 【注2】学生駅伝3冠は1990年度の大東大、2000年度の順大、10年度の早大が達成。昨年度の青学大は初めて0年度周期を打破。

 ◆全日本Vの神奈川大「夢物語が目標に」

 伊勢路で圧勝した神奈川大は、青学大と東海大の「2強」だった勢力図を「3強」に塗り替えた。エース兼主将の鈴木健吾(4年)を筆頭に最上級生の戦力が充実している。「指導歴は約30年になるが、4年生全員が登録メンバーに入ったことは初めて。最上級生の頑張りによってチームの雰囲気はいい」と大後栄治監督(53)は手応えを明かす。

 現4年生の入学後は17位→13位→5位と右肩上がり。「1年の時『僕らが4年生になった時、優勝しよう』と同期で話し合ったけど、夢物語だった。でも、今は現実的な目標です」と鈴木健は話す。“黄金世代”の最上級生を中心に、20年ぶり3度目の頂点を視野に入れている。

 ◆出雲Vの東海大「早く来い、来い、箱根駅伝」

 東海大の今季のテーマはズバリ「打倒・青山学院!」。ライバル校の固有名詞を堂々と掲げ、有言実行した。出雲駅伝で10年ぶり4度目の優勝を果たし、全日本大学駅伝でも青学大に先着した。ただ全日本は最終8区で神奈川大に逆転され2位。「箱根でのライバルは青学大だけではない」と主将の春日千速(4年)は大混戦に挑む覚悟を明かす。

 登録16選手上位10人の1万メートル平均タイムは断トツの28分43秒11。トラックのスピードは他校の追随を許さないが、20キロ超のロードでは未知数な部分もある。両角速(もろずみ・はやし)監督(51)は不安を打ち消すようにあえて明るく話す。「早く来い、来い、箱根駅伝」。貪欲な姿勢で悲願の箱根路初制覇に挑む。

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