箱根初V狙う東海大、登録から漏れた無名4年生が2万M学内記録会で魂の力走 1区・関、5区・松尾らを鼓舞

スポーツ報知
2万メートル学内記録で1時間0分46秒17で走破した島田(右)と、島田をたたえる両角監督

 箱根駅伝(来年1月2、3日)で初優勝を目指す東海大が30日、神奈川・平塚市の湘南キャンパス陸上競技場で、登録メンバー(16人)から外れた選手による2万メートル学内記録を行い、島田良吾(4年)が1時間0分46秒17でトップになった。卒業後、競技の第一線から退く島田は「4年間で一番、いい走りができた。登録メンバーの気持ちが少しでも盛り上がってくれればうれしい」と充実の表情で話した。

 400メートルトラックを50周。残り周回を知らせる掲示板の「50」はインパクトが大きい。「チームのため、自分のために走ろう」。両角速監督(51)のゲキとともに東海大の登録メンバーから外れたメンバーは2万メートルをスタート。400メートルトラックを延々と走り続けた。

 小松陽平(2年)、鈴木雄太(1年)とともに1万メートルを30分6秒で通過した島田は、その後、独走。1区登録の関颯人(2年)、5区登録の松尾淳之介(2年)らが声援を送る中、気迫あふれるラストスパート。ガッツポーズでゴールした。

 埼玉・東農大三高から一般入試を経て入部した島田は4年間、コツコツと努力を続け、12月上旬には登録メンバー候補20人による最終合宿に参加した。しかし、12月10日に発表された16人の登録メンバーは「17、18番手」(両角監督)で漏れ、最初で最後の箱根駅伝出場の道は絶たれた。

 「4年生らしい走りを見せてくれた。箱根駅伝は走れないけど、箱根駅伝への熱い思いを感じた。それは登録メンバーに必ず伝わる」と指揮官は最大級の賛辞を送った。西出仁明コーチ(42)も「島田は(メンバー外が決まった)12月10日で気持ちが切れてもおかしくなかったが、その後の練習でも率先して登録メンバーのペースメーカーをするなど最上級生として背中でチームを引っ張ってくれた」と絶賛した。

 東海大は、高校時代から全国のトップレベルで活躍し「黄金世代」と呼ばれる2年生が登録メンバー16人中9人が名を連ねた。登録選手上位10人の1万平均タイムは全21チームで断トツの28分43秒11。スピード自慢のタレント軍団を、1万メートルの自己ベスト29分55秒14のたたき上げの無名4年生が魂の2万メートル力走で鼓舞した。1時間0分46秒は箱根駅伝のつなぎ区間なら十分に通用するタイムだ。「頼もしいメンバーがそろった。16人のうち誰が走っても優勝してくれると思う。僕は(7区登録の)国行(麗生、4年)の付き添いとしてチームをサポートします」と島田は話す。

 「チームの雰囲気は良くなっています」。両角監督は、東海大悲願の箱根路初制覇へ確かな手応えを明かした。

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