女子マラソン代表争い 素材は確か世界大会への備えを

スポーツ報知
松田瑞生

 2020年東京五輪マラソン代表選考レースへの出場権を懸けたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)シリーズの“前半戦”が終わった。男子は東京で2時間6分11秒の日本新記録を樹立した設楽悠太(26)=ホンダ=ら若手の台頭もあり13人が、女子は6人がそれぞれ切符を獲得。MGC初年度を振り返り、収穫や課題、そして東京五輪金メダルへの道を探った。

 6人がMGC出場権をつかんだ女子は、新星の台頭が著しい。全員マラソンの五輪代表歴なし。特に、松田と関根はともに初マラソンでの基準突破。瀬古利彦・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「どれだけ伸びるか分からない2人が勝ち残ってくれてうれしい」と歓迎した。素材は確か。今後の向上で、東京でメダルを争えるかが決まる。

 18年は世界大会が非開催の“谷間の年”。各大会の海外有力招待選手が極端に少なかった。五輪・世陸で表彰台を争う目安の自己記録2時間21分以内を持っていたのは、名古屋ウィメンズ2位のV・ジェメリ(ケニア=2時間20分53秒)だけ。大阪国際は松田、北海道は前田が制したが事実上、国内選手との争いだった。給水の度に細かくペース変動し、後半の叩き合いも強烈な世界大会は全く別ものとして備える必要がある。

 河野匡・長距離マラソンディレクターは「取り組みと選手層の厚みは、もう少し考えていきたい。厚みを増すことが(日本代表の)頂点を高くする」と述べた。世陸代表歴のある前田彩里(26)=ダイハツ=、清田真央(24)=スズキ浜松AC=ら、タレントも控える。強化育成と実力者の奮起が、東京へのキーワードになる。(細野 友司)

 ◆MGCレースへの道 東京五輪代表3枠のうち2枠を一発勝負で争うMGCレースへ出場するためには〈1〉来季のMGCシリーズで基準をクリアする、〈2〉ワイルドカード基準をクリアする、の2通りある。〈1〉は国内指定競技会(男子5大会、女子4大会)で大会ごとに定められた順位とタイムで走ることで出場権を得る。〈2〉は国際陸連公認の競技会で日本陸連の設定タイム(男子は2時間8分30秒以内、もしくは上位2レースの平均が2時間11分以内。女子は2時間24分以内、もしくは上位2レースの平均が2時間28分以内)を期間内にクリアするか、今年8月のアジア大会(ジャカルタ)で3位以内に入る必要がある。代表の残り1枠は、19年冬~20年春の選考レース(MGCファイナルチャレンジ=男女各3大会)を経て決まる。

 日本陸連の尾県貢専務理事(58)は、MGC出場権を獲得した男女計19人について、今後積極的な海外レースへの参加を後押しする考えを示した。暑熱対策など、東京五輪本大会を見据えた準備も進める。「東京のキーワードは暑さ、湿度。適応できるトレーニングやコンディショニングを研究し、現場に落としていくことを考えている」と説明。河野ディレクターも「確実に進歩は遂げている。ただ、世界と戦い、東京五輪のメダルにつながるかといえば、まだ甘いぞと認識している。現場とタッグを組んで、強いマラソンができ上がるようにやっていきたい」と気を引き締めていた。

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