【箱根への道】東海大・川端、駒大・工藤がコニカミノルタ入り ライバルから仲間へ

スポーツ報知
後輩へのメッセージを色紙に込めた工藤有生(左)と川端千都。4月から2人はライバルから心強い仲間になる(カメラ・池内 雅彦)

 卒業シーズン真っただ中。今年も箱根路から多くの選手が巣立ち、川端千都(東海大4年)と工藤有生(駒大4年)は、ともに実業団のコニカミノルタに進む。4年連続で大舞台を経験しながら、最終学年では実力を発揮できず悔しさを抱える2人。大学生活を振り返り、箱根駅伝への思いを語った。

 同僚となる2人は4月の入社を控え、これからの拠点となるコニカミノルタ選手寮の一室で心境を語った。

 川端(以下川)「施設も大学とは全然違いますし、陸上競技に特化した生活を送れるので楽しみです」

 工藤(以下工)「管理された生活から、自己責任が強くなる環境。しっかり考えて生活したいですね」

 4年連続で箱根路を駆けたエースも、4年目は苦しんだ。川端は昨年12月上旬に左すねを痛めた影響で10区16位。工藤も左足に力が入らない「抜ける」状態に陥り、フラフラに蛇行するなど7区14位と本来の実力を発揮できなかった。

 工「駅伝主将としても納得できなかったです。4年間、朝練習から(夕方の)本練習、遠征や合宿も見てくれた大八木(弘明)監督に恩返ししたかった。ふがいない走りでも、みんなは『気にしなくていい』って言ってくれて。周りに恵まれました」

 川「3年生までだったら、左足を痛めた時点で無理に出場しなかった。でも勝って終わりたかったし、両角(速)先生を男にしたかった。考えが合わなくてぶつかったこともあったけど、レース前は『最後まで頼むぞ』って言ってもらえて、ありがたかったです」

 2人は2年時のユニバーシアードで代表に選ばれて知り合い、今はライバルから心強い仲間へと変わった。2月下旬には他大学の同期とも集まったという。

 川「下田や田村(青学大)、神奈川大の鈴木(健吾)とか10人くらいでいろいろな話を。東海大はスピードばっかり磨いてるんで、駒大は根性あるなぁとか」

 工「いや、その分東海大は質が高い。確かに40キロ走とかもあったけど」

 川「1回で!? すげぇな…。3部練習で合計40キロなら経験ある(笑い)」

 2年後の東京五輪には違うアプローチで挑む。

 川「まずトラックで結果を出したい。東京まではスピードを磨いて、2024年のパリ五輪はマラソンで戦えるようにシフトするのが理想です」

 工「スピードも大事だよね。でも僕はマラソンで狙いたい。今は治療に通っている状況なので、左足は万全ではないですが、長い距離が得意なので」

 川「かっこいいな…。やっぱり走り込んでるだけあって、自然にそう思えるのってすごい」

 4年間、苦楽をともにした仲間と臨んだ箱根駅伝とは、どんなものだったのか。

 工「入学したきっかけも箱根駅伝。『箱根で変われた』という部分がすごく強いですね。走るたびに沿道の声援も大きくなって、距離は長いけど一瞬で終わる。たくさんの人にも支えてもらいました。特に欽ちゃん(萩本欽一)は後輩になるんですけど、応援にも来ていただいて力になりました」

 川「僕は『そこそこ出られたらいいかな』くらいの気持ちでした。でも、学年が上がるにつれ『ここで勝ちたい』となってきて。足を痛めてまで無理して出ようと思う大会は、もうない」

 2人はすがすがしい表情で思い出と未来を語った。箱根から世界へ。故・金栗四三氏の遺志を継ぎ、新たなスタートラインに立つ。(取材、構成・太田 涼)

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