池江、バタ100でリオ銅超えの日本新

スポーツ報知
女子100メートルバタフライ準決勝で日本新記録をマークし、決勝に駒を進めた池江璃花子(カメラ・相川 和寛)

◆競泳 日本選手権第1日(3日、東京辰巳国際水泳場)

 昨年5冠のリオ五輪代表・池江璃花子(17)=ルネサンス亀戸=が、女子100メートルバタフライ準決勝で56秒58の日本新記録をマークした。自身がリオ決勝でマークした56秒86を0秒28更新。リオ五輪の銅メダルに相当するタイムで、2020年東京五輪の表彰台へ向け、夢が膨らんだ。男子400メートル自由形決勝で、昨年優勝のリオ五輪400メートル個人メドレー金メダル・萩野公介(23)=ブリヂストン=は2位だった。

 別次元の一人旅だった。豪快に水しぶきを上げる池江が、ライバルたちを後方へと置き去りにした。電光掲示板に浮かび上がる「56秒58」。自身の持つ100メートルバタフライの日本レコードを、リオ五輪以来1年8か月ぶりに、0秒3近くも縮めた。この種目だけで通算6度目の更新。それでも「56秒4くらいを目指していたので、悔しさもちょっとある」と、複雑な笑みを浮かべた。

 新記録狙いを公言して臨んだ、準決勝2組目。「決勝並みに緊張した」というスタートの反応0秒77は、8人中ワーストだった。そこから驚異的な加速を見せた。50メートルのターン26秒44は、日本記録を0秒37上回った。期待のどよめきがボリュームを増す中で、ゴール板を叩いた。「タッチが合わなかったので、予選(57秒14)より遅いと思った」と告白し、さらに驚かせた。

 昨年の日本選手権は女子史上初の5冠。しかし、今大会は「1バタ(100メートルバタフライ)に集中して思いっきり記録を出したい」と、日程がかぶる200メートル自由形を回避した。池江が5位に終わったリオ五輪にあてはめれば、銅メダル相当。「世界でも戦えるタイム」と自信が深まった。

 18年に入り、長短水路合わせ、日本新は既に7個目となった。リオ五輪後は肩や足首の故障などで思うように練習を積めず、昨年は7月の世界水泳(ブダペスト)で57秒08の6位に終わり失意を味わった。「悔しい思いをしているので、絶対飛躍したい」と鍛錬に励んできた今季。あまりの強さにライバルは脱帽どころか完全に降参。最近では「地球外生命体」という、女子高生には少々似つかわしくない“ニックネーム”も増えた。

 4日は決勝を控え「55秒台を見ていかないといけない」と野望を口にした。「リオの時より絶対に成長している。東京まで突っ走りたい」。その目は、2年後の表彰台だけを見ている。(太田 倫)

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