池江璃花子、2夜連続日本新 100Mバタでも「ここで終わりにはしたくない」世界記録も視野に 

スポーツ報知
女子100メートルバタフライで優勝し、表彰式で笑顔を見せる池江璃花子(カメラ・中島 傑)

◆第94回競泳日本選手権 第2日(4日、東京・辰巳国際水泳場)

 リオ五輪代表・池江璃花子(17)=ルネサンス亀戸=が、女子100メートルバタフライ決勝で56秒38の日本新記録をマークし、3年連続3度目の優勝を果たした。自身が3日の準決勝でマークした56秒58を1日で0秒2塗り替えた。今後の目標には55秒台、さらに世界記録へのチャレンジも掲げた。

 ゴール板に触れた瞬間は、半信半疑だった。電光掲示板を振り返った池江の目に飛び込んできたのは「56秒38」の数字だった。2夜連続の日本記録。一晩で自身が打ち立てたレコードを0秒2も短縮した。「後半はすごくバテた。6秒3(56秒3台)を出したいと言っていたので、すごくうれしい。自分が強くなったと思えたレースだった」。この種目では今季世界最高。16年リオ五輪であれば銀に相当する数字で、3連覇に花を添えた。

 大きな大会で記録を残し、なおかつ、勝つ準備をしてきた。今年1月から2月にかけ約3週間、仲良しの長谷川涼香とともに、オーストラリア・ゴールドコーストに渡った。08年北京五輪女子個人メドレー2冠のステファニー・ライス(豪州)らを育てた名コーチ、マイケル・ボール氏のもとで、強化合宿に励むためだった。

 新鮮な日々を送った。地元出身の五輪メダリストや代表クラスの選手に囲まれ、「本当にすごく自分の好きなことに熱中できた」。数日に一度、ウォームアップの段階から本番を想定した“模擬レース”が行われた。レース用の水着も着用し、大舞台さながらのレベルの高い競争を繰り広げた。「一人ひとりの意識がすごく高い。日本にいた時は、ここはちょっと抜いてもいいや、という気持ちになる時もあった。甘いところがあった」。足りなかったものに、自然と気づいた。

 リオでは銀でも昨年の世界水泳に当てはめれば、表彰台には0秒01届かない。「この記録よりさらに上を、世界大会では出したい。ここで終わりにはしたくない。目指すは55秒台、そして世界記録も視野に入れたい」。世界記録はショーストロム(スウェーデン)がリオ五輪で打ち立てた55秒48。今はまだ遠い。しかし、17歳の進化のスピードを考えれば、決して夢物語ではない。(太田 倫)

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