萩野公介が刺激を受けた大阪桐蔭・西谷監督の言葉「僕もレースの中で成長したい」

スポーツ報知
男子200メートル個人メドレーの準決勝で2組1着となり、決勝に駒を進めた萩野公介(カメラ・相川 和寛)

◆第94回競泳日本選手権 第3日(5日、東京・辰巳国際水泳場)

 リオ五輪400メートル個人メドレー金メダリストの萩野公介(23)=ブリヂストン=が、6連覇中の200メートル個人メドレーに臨み、準決勝を1分57秒70で貫禄の1位通過を果たした。初日(3日)の男子400メートル自由形で派遣標準に届かず2位に沈んだ。4日の200メートル自由形を棄権してまで得意種目に懸けて出場。センバツ高校野球で連覇を達成した大阪桐蔭からも刺激を受け、“ネオ萩野”として王者健在を示した。

 さわやかな高校球児のような笑顔で、萩野は水から上がってきた。2日前の、うちひしがれた表情とは別人。リオ五輪で銀メダルも獲得した得意の200メートル個人メドレーを泳ぎ、自分が何者であるかを思い出したかのようだった。「悪くなかったですよ。楽しかったです」。1分57秒70での準決勝1位通過に胸を張った。

 不安を吹っ飛ばした。初日(3日)の400メートル自由形で代表入りを逃し「話にならない」と、ぼう然自失。敗戦を引きずりがちな性格を熟知する日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(HC、54)とも話し合い、2日目の200メートル自由形は棄権し、個人メドレーに集中する道を選んだ。「個メ(個人メドレー)は譲れない」と奮い立ち、予選から2分00秒15で1位。気合のノリが違った。

 きっかけは“聖地”にあった。センバツ高校野球で、ドラフト候補の根尾昂遊撃手らを擁した大阪桐蔭が、4日に史上3校目の連覇を達成。新聞などで目にした名将・西谷浩一監督の言葉が心に響いた。「優勝した大阪桐蔭の監督さんも『試合中に成長することが大切』って言っていた。僕も一つひとつ、レースの中で成長したい」。甲子園球児のようなひたむきな心を思い出し、水をかいた。

 初日はショックで、プールサイドで平井HCと目も合わせられなかった。「ワザとオレを見ないようにするな。嫌いなら見なくていいけど」と一喝された。この日のレース後は「必死になって探したけど(平井HCが)いなかった」と冗談を言う余裕も出た。その恩師からは「2個メは選手生命をかけて頑張れ」との猛ゲキも飛ばされた。「やるしかないと思っている」。吹っ切れた“ネオ萩野”がきょう6日の決勝で、表彰台の真ん中という指定席をロックオンした。(太田 倫)

スポーツ

×