小関、みそぎの3冠「正直、泣きそう」男子200平制し再スタート

スポーツ報知
男子200メートル平泳ぎで優勝し、3冠を達成した小関(右)は北島康介氏から祝福を受けた(奥は2位・渡辺=カメラ・相川 和寛)

◆アジア大会、パンパシフィック選手権代表選考 競泳日本選手権第5日(7日、東京・辰巳国際水泳場)

 男子平泳ぎの第一人者、小関也朱篤(やすひろ、26)=ミキハウス=が200メートル平泳ぎも制し、昨年に続き50メートル、100メートルとの3冠を達成した。後輩選手への暴力事件からの復帰戦には引退覚悟で臨んだが、宣言通りの3冠で家族に恩返しした。女子100メートル自由形準決勝では、池江璃花子(17)=ルネサンス亀戸=が53秒46の日本新で決勝進出。今大会4度目の日本新をマークした。

 プールに浮かびながら、小関はこみ上げてくるものを必死にこらえた。ラスト25メートル、世界記録保持者・渡辺とのデッドヒートを制し4連覇。「正直、泣きそうだった。ここで負けたら水泳を辞めてもいいぐらいの思いで泳いだ」。2年連続で3冠に輝き、しみじみと勝利の重みをかみしめた。

 昨年12月にスペインで行われた代表合宿中、炊事当番に遅れた後輩に暴力を振るったとして、約3か月の対外試合自粛処分を科せられた。公表される前、夫人には事実を伝えた。返ってきたのは「今度の日本選手権で、また優勝できればいいんじゃない?」という言葉。責めもせず、そっと背中を押してくれた。「家族が一番隣で支えてくれている。負けていられない」。全て日本記録での3冠を何度も公言し、自分を追い込んだ。大会中は昨年8月に生まれた長女の写真を眺めながら、気持ちを奮い立たせた。

 200メートルは記録更新こそ逃したが、派遣標準を突破して今夏のアジア大会、パンパシフィック選手権への代表権を獲得。「(ブランクは)言い訳にしたくなかった。家族には感謝の気持ちでいっぱい」。第一人者が試練を乗り越え、再びスタートを切った。(太田 倫)

スポーツ

×