【競歩】谷井孝行が2位 五輪4度出場35歳「まだまだ強くなりたい」

スポーツ報知
2位でゴールテープを切った谷井(右)

 2016年のリオ大会など過去4度の五輪に出場している、富山県出身の谷井孝行(35)=自衛隊体育学校=が、3時間52分33秒で2位になった。レース中盤に3位まで後退したが、粘り強く歩き、32キロ過ぎで2位に浮上した。富山県出身の山崎勇喜(34)=自衛隊体育学校=は、4時間3分9秒で4位入賞した。

 日本屈指のベテランウォーカー、谷井が気迫のこもったレースを見せた。序盤は1位争いでデッドヒートを展開。28キロ手前で3位に後退したものの、沿道から小2の長女ら家族の声援を受けて奮起した。昨年は無念の途中棄権だったが「かっこいいパパを見せたい。娘からは周回ごとに、頑張ってと言われて、力になりました」と谷井。32キロ過ぎで2位に浮上し、準優勝のゴールテープを切った。

 調子は万全だった。「ケガで休める期間もないです」と苦笑いするほどの好調ぶりが続いていたが、大舞台でのレースは想定外の展開となった。20キロ過ぎまでに2回の歩型違反を警告され、あと1回で失格となる大ピンチに陥った。「体が動かず、警告につながった。その後は慎重になりすぎて、精神的、体力的に(力を)奪われた」。累積警告が足かせとなり、終盤、力を出し切れなかった。

 過去4度の五輪に出場し、15年の世界陸上では50キロ競歩で銅メダルを獲得した。ベテランの域に達し、レース中にも仲間のペース配分さえにも気を配る。合宿では若手に練習の取り組み方や食事、給水法を伝授する。「自分の経験を伝えたいし、まだまだ強くなりたいと素直に思う」。若手と一緒に練習して力を付けてきた。

 8月のアジア大会(インドネシア)出場は厳しい状況だ。20年東京五輪出場への目標も定まらないままだ。「世界で戦える感覚を取り戻せないと、気持ちも上がってこない。今後の目標はゆっくり考えたい」と谷井。自分を見つめ直しながら、完全復活の道を探る。(中田 康博)

 ◆谷井 孝行(たにい・たかゆき)1983年2月14日、滑川市生まれ。35歳。滑川中では野球部、高岡向陵高1年から競歩を始めた。2年の時にインターハイ優勝、世界ユース3位。2004年、日本大4年でアテネ五輪に出場し、20キロ競歩で15位。卒業後は佐川急便に入社したが、14年に自衛隊体育学校に移籍。五輪は08年北京、12年ロンドン、リオ大会にも出場した。167センチ、57キロ。血液型B。

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