世陸王者・キルイに勝った川内の“伝説”あれこれ

スポーツ報知

◆第122回ボストン・マラソン(16日・米マサチューセッツ州ボストン)

 男子は、公務員ランナー川内優輝(31)=埼玉県庁=が2時間15分58秒で初優勝を飾った。日本勢では1987年大会の瀬古利彦以来31年ぶり8人目、9度目の快挙。世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」で日本勢初制覇となった。大雨、強風、スタート時の気温3・3度の悪条件。40キロ過ぎに、トップだった17年ロンドン世界陸上王者で前回覇者のジョフリー・キルイ(ケニア)をかわした。姉妹提携する青梅マラソン(報知新聞社主催)から派遣された男子の岡本直己(33)=中国電力=は17キロ手前で、女子の芦麻生(あし・まき、24)=九電工=は20キロ過ぎでいずれも棄権した。

 ◆川内の“伝説”

 ▼実は箱根ランナー 関東学連選抜の一員として6区を2度走った。学習院大の学生としては、初の箱根ランナー。07年大会は6位、09年大会は3位。

 ▼丸刈りで反省 ロンドン五輪代表選考を兼ねた12年2月の東京マラソンで14位に沈んだ。五輪切符を逃し、母・美加さんの手で丸刈りとなった頭で当時勤務先だった埼玉・春日部高へ出勤。「誠意を示したかった。さらし者になった方が良い」と語った。

 ▼遭難寸前 14年9月、仁川アジア大会に向けたトレイルランの途中、奥多摩の山中で道に迷った。熊の襲撃におびえ、崖から転落しそうになりながら何とか帰り着き「生きてるって幸せ。整備された道路を走るのは恵まれている」と悟った。アジア大会は銅メダル。

 ▼100キロ走 17年ロンドン世界陸上に向け、100キロ走を練習に取り入れた。理由は、瀬古氏をはじめ、往年の名ランナーが練習量を積んで力をつけていたから。16年秋は、群馬・渋川市から自宅の埼玉・久喜市まで利根川沿いに下るコースを走り、所要7時間半ほどだった。

 ▼ギネス世界記録 今年3月に「2時間20分以内における最多完走数」78回が認定された。

 ▼世界大会では 世界陸上は、11年大邱大会で初出場し17位。2大会連続で臨んだ13年モスクワ大会では18位。日本代表でのラストレースと位置づけて臨んだ17年ロンドン大会では、入賞圏まで3秒差の9位で存在感を示した。五輪は出場なし。

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