17歳・素根輝、史上初の柔道全日本女子選手権初出場V…東京五輪代表争いに名乗り

スポーツ報知
初出場優勝を達成した素根

◆柔道・全日本女子選手権(22日・横浜文化体育館)

 素根輝(あきら、17)=福岡・南筑高=が大会史上初の初出場優勝を果たした。高校生女王は1993、94年の阿武教子以来。準決勝で前回女王の朝比奈沙羅(21)=パーク24=、決勝で冨田若春(わかば、21)=コマツ=をゴールデンスコア方式の延長で反則勝ちで下した。9月の世界選手権(アゼルバイジャン)78キロ超級代表には朝比奈が選出。素根は混合団体戦の代表に回ったが、2020年東京五輪の代表争いへ大きくアピールした。

 素根が堂々の試合運びで高校生女王に輝いた。準決勝から2戦続けて延長にもつれ込んだが、「スタミナには自信があるので、負ける気はしなかった。実感はないけど、優勝できてうれしい」と、余力を残したかのように笑みを浮かべた。初出場での優勝は史上初の快挙。前夜はローストビーフの食べ放題に出かけ、試合中の家族からのアドバイスが耳に入るほど落ち着いていた。17歳9か月での優勝は歴代2位の若さだが、強心臓ぶりは際立っていた。

 ライバルの“口撃”にも打ち勝った。準決勝で戦った朝比奈には、2人並んだ前日会見で「出た芽は摘んでいく」「初出場で簡単に優勝できると思わせたくない」「東京(五輪)はまだ早い」と、痛烈な言葉を浴びせられた。「結構言われたけど、自分も負けたくないと本当に思った。絶対に勝ってやろうという気持ちになった」。燃える闘志を試合にぶつけ、7日の全日本選抜体重別選手権決勝に続く勝利で留飲を下げた。

 猛練習が成長を支えている。「練習量だけは絶対に誰にも負けない自信がある」と言い切る。平日は朝練を1時間、授業後に2時間半の稽古を行う。乱取りは4分×15本のメニューを終えても、「自分が納得するまで」と30分も延長し、監督に止められることも。帰宅後は兄・勝さん(22)と自宅の倉庫を改造したトレーニング室に2時間以上こもり、90キロのおもりをつけた柔道着を40秒間引っ張るなど、体を鍛え抜いている。

 大会後の強化委員会では78キロ超級の世界選手権代表に朝比奈が選ばれた。素根は国際大会の実績不足などを理由に個人戦代表を外れたが、全日本女子の増地克之監督は「朝比奈との差はだいぶ埋まってきている。来年の世界選手権、20年東京五輪に向けて楽しみになった」と期待。国内主要大会を2連勝した17歳が、東京五輪代表争いへ存在感を増してきた。(林 直史)

 ◆素根 輝(そね・あきら)2000年7月9日、福岡・久留米市生まれ。17歳。田主丸中から南筑高に進み、2年生だった昨年は世界選手権混合団体戦メンバーで優勝。世界ジュニア選手権も制し、金鷲旗高校大会では決勝で男女を通じて史上初の5人抜き。今年の全日本選抜体重別選手権女子78キロ超級で2連覇。得意技は体落とし、大内刈り。162センチ、100キロ。

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