【箱根への道】麗沢大、44校目の箱根めざす「史上最強」チーム

スポーツ報知
ロードでの練習を中心に初の箱根路を目指す麗沢大の選手たち(カメラ・相川 和寛)

 初の箱根路へ、麗沢大が下克上を狙う。昨年の予選会では史上最高の15位と健闘し、結果発表ボードに初めて名を刻んだ。強豪ひしめく10月の“立川決戦”で切符をつかむべく、6月には大学内に陸上競技場も完成予定。「ハーフは麗沢の看板」という長距離へのプライドを胸に、史上44校目の箱根出場を目指すチームに迫った。

 「15位、麗沢大学」の声に小さくガッツポーズしてから約7か月。山川達也監督(33)は「自信をつかめたというか、やってきたことは間違ってなかったんだな、と。毎年『来年こそは』と思っていましたが(箱根出場が)現実味を帯びた感じがしました」と、監督として初めて臨んだ予選会を振り返った。コーチとして7年間指導し、今季は2年目。「ここからが本当の勝負。(箱根出場権内の)10位とは8分も差がありましたし」と気を引き締めた。

 2005年に創部、同年の予選会は22位だったが、伊藤文浩が関東学連選抜入りして8区9位と好走した。以降、編成のなかった14年を除き毎年関東学連チームに代表選手を送り出しているが、練習環境には恵まれていなかった。近隣にトラックはなく、平日は校内にある1周約1・1キロのロードコースを中心に距離走などを行っている。車の往来があり危険も伴うため、指揮官がバイクで選手を追走。週末はマイクロバスで競技場へ選手を連れて行くなど苦労も絶えなかった。「ロード中心だったのでトラックのタイムは伸ばしてあげられませんでしたが、その分『ハーフは麗沢の看板だ』と暗示をかけるように指導していました」と山川監督。長い距離への意識付けを徹底してきた。

 今季から強化指定部として認定され、6月には寮の目の前に念願のトラックが完成予定。練習の幅が広がり、スピードも強化できる。昨季のスタッフは山川監督だけだったが、4月から原塚大貴コーチが就任。指揮官の弥富高(現・愛知黎明高)教員時代の教え子との師弟コンビで指導に当たっている。

 今季は選手層も厚い。昨年の予選会出場12選手のうち10選手が残り、関東学生連合チームを経験している国川恭朗、宮田僚の3年生コンビが中心になる。宮田は今年の箱根では補欠に甘んじたが「自分たちが本気になりきれていないことに気づいた。やっていることは負けてない」と間近で体感した熱をチーム内に浸透させた。3月には学生がそれぞれ電車などを使い、箱根の希望区間でコースの下見を行うなど“イメージ”作りも万端だ。

 ルーキーの椎名修羅ら下級生も勢いがあり、山川監督は「史上最強チームです。正直、今の時点では誰が(予選会を)走るか分からない。ぜいたくな悩みです」と自信満々だ。2年生以上の全選手が5000メートル14分台に突入するなど底上げも順調。今季の目標は「予選会8位通過と、本戦で全員が笑顔でタスキをつなぐこと」と西沢健太主将(4年)。14回目の挑戦で、歴史に名を刻む準備は整った。(太田 涼)

 ◆麗沢大 起源は1935年に開塾した道徳科学専攻塾で59年に開学。本部は千葉県柏市。教育理念は「知徳一体」。外国語学部と経済学部がある。陸上部創部は2005年。主なOBは車いすテニスの国枝慎吾、17年ベルリンマラソン7位の佐野広明ら。

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