【箱根への道】正月前哨戦、2強が強い…ハーフ全員入賞の東海大&5連覇へ収穫の青学大

スポーツ報知
男子1部ハーフマラソンで日本人トップの2位に入った東海大・湯沢舜(カメラ・生澤 英里香)

 関東の学生長距離ランナーにとって箱根駅伝と並ぶ2大イベントといわれる関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)が5月24~27日に神奈川・相模原ギオンスタジアムで開催された。秋からの駅伝シーズンの行方を占う中長距離5種目では1部、2部それぞれで東海大と青学大が最多得点を獲得。スピード軍団と箱根覇者が存在感を示した。新年の箱根路へと続く4日間の熱戦“夏の陣”を追った。

 地力の高さを見せつけ、ハイレベルな1部を制した。学生トップクラスと言われる5000メートル13分台を15人そろえるスピード軍団・東海大は、最終日のハーフマラソンで力を発揮。湯沢舜(4年)が2位、西田壮志(2年)が4位、湊谷春紀(4年)が7位と出場全3選手が入賞し、一気に14得点を荒稼ぎした。日本人トップでゴールした湯沢は、「淡々と自分のリズムを崩すことなく走れた。先頭から離されても粘れたし、踏ん張ることができた」と充実した様子。7位の湊谷も「持ち味のスピードを長い距離にも生かせつつあることを示せた」と、手応えをつかんだ。

 1500メートルでは館沢亨次(3年)が連覇、3000メートル障害も全3選手が入賞するなど存在感をみせた一方、関颯人(3年)や鬼塚翔太(3年)らは表彰台を逃し、物足りなさも残った。そんな中でのハーフマラソンの好結果に、両角速(もろずみ・はやし)監督(51)は「積み上げた練習がものになってきた。特に湯沢の走りは2区を任せてもいいくらい」と、箱根路でのエース区間起用も視野。今季のスローガン「速さを強さに」を体現したとき、悲願の箱根初Vも見えてくる。(太田 涼)

 ◆2部トップの青学大、課題も見えた

 箱根駅伝で史上3校目の5連覇を目指す青学大は2部でトップの25点を獲得。結果以上に、内容から手応えをつかんだ。ハーフマラソンの入賞は5位の竹石尚人(3年)だけだったが、今年の箱根MVPの林奎介(けいすけ、4年)、中堅クラスの吉田祐也(3年)も中盤まで先頭集団を形成し、存在感を示した。「勝負には“良い負け方”と“悪い負け方”がある。ハーフマラソンでは全員が積極的に走り、良い負け方だった。夏合宿で取り戻せる」と原晋監督(51)は納得の表情で話した。

 指揮官は今季のカギを握る選手として箱根2区区間賞の森田歩希主将(4年)を挙げる。右足裏マメの影響で関東インカレは欠場したが、3日の国士舘大競技会5000メートルで13分57秒91の自己ベスト。「関東インカレはチームとして収穫も課題もあった。僕もこれから上げていきます」と森田主将は前向きに話した。

 ◆塩尻が日本人トップの順大

 エースが圧倒的な力を見せつけた。リオ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(4年)が1万メートル3位、5000メートル2位に入りともに日本人トップを獲得。特に5000メートルはケニア人留学生P・ワンブィ(日大4年)にこそかわされたが、4000メートル付近まで先頭でレースを引っ張った。それでも、「1万メートルで(ワンブィに)負けていたので、(5000メートルは)勝ちたかった。悔しいです」と、好結果にも満足することなく頂点を見据えた。

 ◆相沢&西山がダブル入賞の東洋大

 相沢晃(3年)、西山和弥(2年)が5000メートル、1万メートルでダブル入賞を果たすなど着実に19点を獲得。「主力2人が2種目で入賞したことは評価できるが、その一方で順大の塩尻君には力の差を見せつけられた。ハーフマラソンで得点できなかったことも課題」と酒井俊幸監督(42)は冷静に大会を振り返った。箱根駅伝10年連続3位以内の抜群の安定感を誇る“鉄紺”に今季も隙はない。

 ◆箱根より古い97回大会の関東インカレ

 関東インカレは1919年に始まり、今年は97回大会。1920年に創設され、今年、94回大会だった箱根駅伝より歴史は古い。

 各種目1位8点、2位7点…8位1点が与えられ、対校戦として総得点を競う。出場は各種目1校3人以内。男子は16校の1部、それ以外の2部、大学院生による3部に分けられる。1部の15、16位と2部の1、2位は翌年、入れ替わる。1、2部は短距離、フィールドを含めた総合力で決まり、長距離に限ると大きな実力差はない。今年の箱根駅伝出場20校は1部11校と2部9校に分けられる。

 大東大監督として箱根駅伝を4度制した関東学生陸上競技連盟の青葉昌幸・名誉会長(75)は関東インカレで入賞した選手に対し、箱根メンバー入りを確約したのは有名な話。関東の大学長距離界には「関東インカレを制する者は箱根路を制す」という格言がある。

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