“野獣ママ”松本薫が実戦復帰「妊婦のみなさん、無理はしちゃダメ」

スポーツ報知
出産を経て16年リオ五輪以来の実戦に臨んだ松本薫

 昨年6月に第1子を出産した2012年ロンドン五輪柔道女子57キロ級金メダルの松本薫(30)=ベネシード=が10日、全日本実業団体対抗大会(福岡・久留米アリーナ)で実戦復帰した。銅メダルを獲得した16年リオ五輪以来の試合。初戦の2回戦は横四方固めで抑え込み1分3秒で一本勝ち。準々決勝は1分9秒に小内巻き込みで一本勝ちしたがチームは敗れた。試合後、右スネに疲労骨折を負っていることを明かし「全国の妊婦のみなさん、無理はしちゃダメです!」と呼びかけた。

 鋭い眼光と闘志あふれるスタイルで「野獣」と呼ばれる松本。安定期に入る前にフルマラソンに挑戦するなど走りすぎた結果、痛みがあったが検査は受けずに忘れてしまっていた。出産後1か月で練習を再開したところ痛みが再発。レントゲン検査をして発覚した。「普通は(骨に)3本くらい線が入るところが、13本も入っていた。一生付き合わないといけない。走れない体になりました」。今は走り込みの代わりに自宅近くの坂道を自転車で駆け上がっている。

 育児の合間で母校・帝京大を中心に練習し、やり残しや不完全燃焼でも保育園のお迎えを優先する生活を送る。大会期間中、1歳になったばかりの娘と初めて長期で離れて過ごした。「泣いてばっかりだと聞いた。勝利の報告より、さみしい思いをさせてごめんね、が先。ぎゅってしてチューしたい。会いたくなってきた~」と手で顔を覆った。

 筋力は戻ったが出産による体形変化で体をうまく使い切れていない。今大会の出来は「70点」。「ママでも野獣」を掲げ「1%でも可能性がある限りは」2020年東京五輪を目指す気持ちは変わらない。同じ階級には昨夏の世界選手権銀メダルの芳田司(コマツ)らがいる。8月の全日本実業個人選手権大会を照準に、さらに調子を上げていく。

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