貴乃花親方、20日臨時理事会で厳罰も…日馬暴行問題で伊勢ケ浜親方とともに

スポーツ報知
先月の理事会に出席した貴乃花親方

 大相撲の元横綱・日馬富士関(33)の幕内・貴ノ岩(27)への暴行問題を受け、日本相撲協会は20日に東京・両国国技館で横綱審議委員会(横審)と臨時理事会を開催する。巡業部長を務めた秋巡業中の出来事を協会へ報告しなかった貴乃花親方(元横綱、45)と、元日馬富士関の師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)はともに理事解任を含めた厳しい処分が協議されることになりそうだ。

 協会関係者によると、巡業部長でありながら秋巡業中での出来事の報告義務を怠った貴乃花親方や、元日馬富士関の師匠だった伊勢ケ浜親方には、ともに理事の解任を含めた処分が協議される見込み。

 ただ、調査している危機管理委員会(高野利雄委員長・元名古屋高検検事長)が、被害者の幕内・貴ノ岩を聴取できていないため、師匠に当たる貴乃花親方への処分については、理事会出席者らから「最終報告ができないのであれば、処分決定を持ち越してはどうか」との意見も出ている。

 理事にとどまった場合でも、冬巡業で貴乃花親方は事件の対応のために巡業部長でありながら巡業に帯同しなかった点から、理事会の決議で巡業部長の職を解かれる可能性が浮上。その場合は理事でありながら、体調を崩して職を離れている二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)の例は別として、担当部署の長を務めない異例の形となる。

 また不祥事の責任を取り、八角理事長(元横綱・北勝海)ら協会執行部は報酬減額を軸とした処分を申し出る可能性がある。

 2014年に相撲協会の公益財団法人への移行後、理事の処分は例がない。財団法人時代の11年2月に発覚した八百長問題に弟子が関与し、師匠だった北の湖(元横綱)、九重(元横綱・千代の富士)、陸奥(元大関・霧島)の3人の理事が当時の規定で退任勧告を受けて辞任している。先月30日の理事会後に会見した危機管理委員会の高野利雄委員長は「今は中間報告。最終的には(処分を)考えている」と話しており、その結論が注目される。

 協会関係者によると、現場の酒席に同席した白鵬、鶴竜の両横綱は暴行を止められなかったことで、横審の提言に沿って理事会での処分が濃厚。両横綱は横審会合に出席を要請され、白鵬の師匠、宮城野親方(元幕内・竹葉山)や鶴竜の師匠、井筒親方(元関脇・逆鉾)も執行部の呼び出しを受けている。元日馬富士関は既に引退しているが、今後、同様の事態が起きた場合に協会としてどのように対処するべきかの基準を残すために厳しい処分案を議論するという。

 相撲協会の懲戒には、軽い順からけん責、報酬減額、出場停止、協会事業への参加を禁じる業務停止、降格、引退勧告、解雇がある。

 ◆過去の主な理事の処分

 ▼立浪親方(元関脇・安念山)と理事全員 1987年12月に横綱・双羽黒が部屋関係者とトラブルを起こして廃業。立浪親方は師匠としての責任で謹慎3か月(1か月後に解除)と3割の減俸。横綱推挙の責任をとって理事全員に3か月間の減俸2割となった。

 ▼二子山親方(元大関・貴ノ花) 兄で当時、相撲博物館館長の花田勝治氏(元横綱・初代若乃花)と96年9月に年寄名跡を3億円で取引したことが発覚。巡業部長を解任され、6か月の減俸3割となった。花田氏は館長辞職願を受理された。

 ▼高砂親方(元大関・朝潮) 2007年8月、弟子の横綱・朝青龍が巡業を休場する診断書を出しながらモンゴルでサッカーに興じていたことが発覚。師匠として4か月の減俸3割。朝青龍は秋、九州と2場所出場停止と4か月の減俸3割。

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