貴ノ岩「傷害負う理由ない」「礼を失していない」協会に暴行語った

スポーツ報知
理事会に出席した貴乃花親方は表情を変えず

 元横綱・日馬富士関(33)による暴行問題を受け、日本相撲協会は20日、東京・両国国技館で臨時の横綱審議委員会及び理事会を開いた。危機管理委員会の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)は会見で、被害者の幕内・貴ノ岩(27)=貴乃花=の聴取を19日に終えた事実を明らかにした。報告書によると、貴ノ岩は傷害を負わされるような理由は全くないものと考えていると証言したという。貴ノ岩には初場所(来年1月14日初日・両国国技館)を全休しても、3月の春場所は十両で臨める救済措置を取る。

 暴行問題発覚から1か月超。相撲協会による貴ノ岩の聴取が、ようやく実現した。事態が急転したのは19日午後。師匠の貴乃花親方から、危機管理委員会の調査に協力する意向を示す一通の文書が協会に届いた。高野委員長は理事会後の会見で「検察の調べが終わり、聴取に応じることに差し支えない、との連絡を受けた」と明かした。聴取は20日午前9時に設定してきた。20日の理事会に最終報告提出を間に合わせたい協会は急いだ。高野委員長が弁護士を伴い、午後7時から都内で約2時間聴取。「八角理事長も心配していた。協会員なのだから(協会の)子供のようなものだ」と情に訴えたという。

 所在不明だった貴ノ岩の入院は、高野委員長が明かした。聴取では<特に礼を失する行為をしたわけではなく、暴行を受けて傷害を負わされるような理由は全くないものと考えている>と話したという。<その場にいた者がもっと早く制止してくれればいいのに、なぜ誰も止めてくれないのか>と思っていたことも報告された。高野委員長は「快方に向かっているのは間違いない」としつつ、稽古できずに体力や体重が落ちているとの印象を語った。

 「暴行の影響で11月場所を休んだ」と被害を重く見た八角理事長は、貴ノ岩に対して異例の救済措置を適用する考えを示した。九州場所に続き初場所も全休する可能性が高く、春場所は幕下陥落が決定的。通常なら無給となるが、例外的に初場所を全休しても、診断書の提出を条件に十両の最下位にとどめる方針だ。

 危機管理委員会がまとめた調査結果の報告書には、貴ノ岩に被害感情があることが記述されている。暴行現場で説教を受けた後に白鵬、元日馬富士関が別の話題について話した際にスマートフォンを操作。決して礼を失した行為ではないと考えているようだ。鳥取城北高校の関係者の面前で殴打され「恥ずかしかった」と心境を告白。モンゴルの先輩でもある元日馬富士関の引退については「望んでいなかった」と述べている。

 暴行問題の関係者13人全員の聴取を終え、高野委員長は「ほぼ最終報告に達することができた」と語った。貴ノ岩が何を考え、どう過ごしてきたのか。28日の臨時理事会が注目される。

 ◆貴ノ岩 義司(たかのいわ・よしもり)本名アディヤ・バーサンドルジ。1990年2月26日、モンゴル・ウランバートル市出身。27歳。初土俵は2009年初場所。十両優勝1回。三賞は殊勲1回、敢闘1回。今年の初場所14日目に白鵬を寄り切りで破り、初金星。最高位は前頭2枚目。右四つ、寄り、投げが得意技。182センチ、150キロ。独身。

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