貴乃花親方、最悪は理事解任も「間違ったことはしていない」と主張…28日臨時理事会

スポーツ報知
厳しい表情で年寄総会に向かう貴乃花親方(カメラ・相川 和寛)

 大相撲の元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題で、巡業部長としての責任などを問われている貴乃花親方(45)=元横綱=が、理事解任(降格)の処分を受ける可能性が27日、浮上した。28日の臨時理事会と評議員会で検討され、最も重い場合は理事を失職する方向。貴乃花親方は協会の危機管理委員会(委員長=高野利雄・元名古屋高検検事長)による聴取で、「間違ったことはしていない」と主張している事実も判明した。全親方が対象の年寄総会は東京・両国国技館で行われたが、約30分で終了した。

 協会関係者によると、貴乃花親方に対しては複数の処分案が出ており、最も重い場合は理事解任(降格)の方向で検討するという。巡業部長でありながら秋巡業中の暴行の報告義務を怠り、危機管理委員会による調査協力の要請を何度も拒否したことが問題視されている。弟子の十両・貴ノ岩が被害者であること、最終的に危機管理委の聴取に応じたことから、協会事業への参加を禁じる業務停止や減給にとどめる意見もあるという。理事の解任や選任など強い権限を持つ評議員の一部からは、「脇へ追いやる形ではなく、反省を促すけん責でもいい」との私案も出ているようだ。

 結果的に「最も重くても降格」という方針にとどめ、対立の泥沼化を避ける現実的な処分に落ち着く可能性も低くはない。この“温情裁定”に水を差しかねないのが、貴乃花親方の態度。25日の危機管理委員会による聴取で、「間違ったことはしていない」と訴えたという。独自の文書や聴取などで行動の正当性を主張しているため、「処分は受け入れないだろう。間違ったことをしていないと言うのだから」と、理事会の紛糾を心配する声も上がっている。

 議論の応酬が予想された年寄総会は、わずか30分で幕を閉じた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「自分の思っていることを伝えた。今、思っていることをね」と話し、足早に引き揚げた。発言はなかったようで、貴乃花親方は入室時とは逆の出口から無言で迎えの車に乗り込んだ。

 八角理事長が伝えた「思い」とは、角界への不信感を拭い、再出発する強い姿勢。協会広報部によると、「きちんと早急に解決し、信頼回復に努めていく」などと表明し、協力を呼び掛けたという。ほかには暴行問題の経緯を説明。来季の事業計画が示され、21年ぶりに90日間全て満員御礼を達成したことに、「協会員のおかげ」と感謝を述べた。最後の質疑応答では、一部親方がリハビリ施設の使用に対して質問しただけ。ある親方が「意外だった」と苦笑いするほどの静けさだったが、裏を返せば理事会への緊張感が高まっている状況をうかがわせる。

 理事の処遇については、理事会を受けて相撲協会の最高議決機関である評議員会で協議する。池坊保子議長が「そのまま受け止めて、その通りに―というようには、ならないかもしれない」と指摘するように、処分が甘ければ理事会の決定が差し戻される場合もある。協会の覚悟が示される。

 ◆評議員会 定数は5人以上7人以内で、過半数を外部有識者で構成しなければならない。相撲協会の最高議決機関で理事の選任、解任という強い権限があり、年寄(親方)が務める場合は年寄名跡を持ったまま任期(4年)内は本名で番付などに記載される。

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