貴乃花親方“恩人”と決別…音羽山親方に相撲協会からの退職促す

スポーツ報知
貴乃花親方を巡る相関図

 4日の臨時評議員会で史上初の理事解任となった大相撲の貴乃花親方(45)=元横綱=が、同部屋付きの音羽山親方(元幕内・光法)に相撲協会からの退職を促していることが5日、分かった。貴乃花親方は4日早朝、協会に退職届を提出するように通達したという。複数の協会関係者によると、貴乃花親方は以前から音羽山親方に角界を去るよう求めていたが、4日になって唐突に「廃業するように」と伝えたという。音羽山親方の処遇は貴乃花親方が主導権を持つという念書が両者の間で交わされている。

 貴乃花親方が二所ノ関一門を離脱して初めて出馬し、「貴の乱」と呼ばれる2010年の理事候補選挙では、音羽山親方は当時安治川親方として、所属していた立浪一門に造反する形で貴乃花親方に投票。「一門を出て立候補した勇気を応援したかった」と改革への志に共鳴した末の行動だった。貴乃花親方も「私はその言葉を胸に裏切ることなく協会繁栄のために従事したい」と語り、自らの部屋付き親方として受け入れてきた。

 いわば恩人であり腹心への“退職勧告”だが、音羽山親方は受け入れざるを得ない状況。きっかけは同じ一門で阿武松部屋付きの小野川親方(元幕内・大道)が所有者から名跡返上を求められたこと。貴乃花親方は、自身が権利を動かせる「音羽山」名跡を小野川親方に襲名させる考えだという。5日朝、小野川親方は兄弟子の不知火親方(元小結・若荒雄)と貴乃花部屋を訪れており、今後の相談をした可能性がある。

 小野川親方の師匠の阿武松親方(元関脇・益荒雄)は貴乃花親方の相談役的な立場。2階級降格の処分で役員待遇委員となった貴乃花親方だが、初場所後、2月の理事候補選挙の立候補は可能。3票を持つ阿武松部屋を支えることで、理事当選への協力を取りつけるための決断だと語る関係者もいる。

 ◆音羽山 貞賢(おとわやま・ただけん)本名・峯山賢一。1973年8月18日、鹿児島・南種子島町出身。44歳。宮城野部屋から89年「峯山」のしこ名で初土俵。96年九州で「光法(こうぼう)」に改名。最高位は西前頭9枚目で07年九州場所限りで引退。当初は安治川として宮城野部屋付き親方だったが、10年の理事候補選挙を機に貴乃花部屋付きに。その後名跡変更を繰り返し、15年7月に音羽山を襲名した。

 ◆年寄名跡 日本相撲協会が定めている資格で、現役を引退した力士は、この年寄名跡を取得襲名して初めて協会の年寄(親方)になれる。襲名資格は、日本国籍を有する者で、幕内通算20場所以上、幕内・十両を通算28場所以上、三役を1場所以上、また横綱・大関を務めた力士に限られる。協会の「年寄名跡目録」に記載されているのは105で、空き名跡は5つ。著しい功績のあった横綱に対しては、その個人一代限りにおいて年寄待遇される「一代年寄」がある。現在は貴乃花親方のみ。

スポーツ

×