昭和の大横綱の孫・納谷幸之介、新弟子検査で大鵬超え「やっと力士になれた」

スポーツ報知
新弟子検査で身長を測る納谷(右は玉ノ井親方=カメラ・能登谷 博明)

 大相撲の初場所(14日初日、両国国技館)の新弟子検査が10日、相撲診療所で行われ、昭和の大横綱・大鵬さん(享年72)の孫で元関脇・貴闘力さん(50)の三男・納谷幸之介(17)=大嶽=が体格検査(身長167センチ以上、体重67キロ以上)をパスした。188センチ、166キロの鍛え抜かれた肉体は偉大なる祖父を超え、無限の可能性を感じさせる。内臓検査を受けての合格発表は初日に行われ、3日目(16日)の前相撲で“大横綱のDNA”がベールを脱ぐ。

 多くの報道陣に囲まれても、納谷は堂々と胸を張った。身長188センチ、体重166キロ、背筋180キロは9人の受検者の中でいずれもトップ。身長と体重は、大鵬さんが引退した1971年夏場所時の187センチ、153キロをすでに超えている。「やっと力士になれたという感じです。注目してもらうのはありがたい。その注目に見合った実力をつけたい。これからは前に出る相撲を取って、しっかりと力をつけていきたい。好きな力士は高校(埼玉栄)の先輩の豪栄道関です」。声が小さいのは祖父譲りか。静かな言葉の中に闘志がみなぎっていた。

 実績も申し分ない。高校3年の時に国体(愛媛)で個人と団体の2冠に輝いた。すでに東京・清澄白河の大嶽部屋での生活を送っており、幕下や三段目の兄弟子と連日、30~40番の稽古を行っている。今月4日の稽古始めでは書き初めを行い、大きな字で「挑戦」と書いた。偉大なる祖父の姿を追い求める戦いがいよいよ始まった。

 性格は真面目。「決して稽古をサボることはなかった。人の見てないところで努力するタイプ。ウチの部は夜2キロのランニングをするのが日課。160キロを超える体で2キロを走るのは簡単ではないですよ。それでも決して手を抜かない。毎日、体から湯気を出して走っていました。プロとアマは違う。でも、その厳しい世界で努力できる子です」と埼玉栄高相撲部の山田道紀監督は証言する。

 新序出世披露の際には偉大な祖父の化粧まわしを借りるという。しこ名は本名の「納谷」を使うが、「時期が来たら変えようと思います」と断言。記者から「大鵬さんを襲名するのか」と聞かれると「いや~、それは」と言葉を濁したが、“大横綱のDNA”を受け継ぐ納谷には、その資格と可能性がある。(今関 達巳)

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