貴ノ岩、初場所を休場「就業は困難」診断書提出

スポーツ報知
協会に提出された貴ノ岩の診断書(一部画像加工)

 元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題で被害を受けた大相撲の東十両3枚目・貴ノ岩(27)=貴乃花=の初場所(14日初日・両国国技館)休場が12日、決まった。両国国技館での取組編成会議前に日本相撲協会に休場届と診断書を提出。全休なら幕下陥落が決定的な地位だが、診断書の提出を条件に、特別救済措置で初場所全休でも十両最下位にとどまる。

 貴ノ岩は休場―。この日の取組編成会議前に休場の意向が伝えられ、同時に診断書も相撲協会に届いた。対応した芝田山広報部副部長(元横綱・大乃国)によると、「FAXではありません。原本が来ています」。協会との連絡の際、「文字が鮮明ではない」とFAXでのやり取りを拒んだこともある師匠の貴乃花親方(元横綱)らしいといえばらしい届け方だった。

 川崎市内の病院による診断は、「頭部外傷、頭皮裂創痕、右乳突蜂巣(中耳にある蜂の巣状の空間)炎痕あり」。ただし書きによると、「繰り返す頭部打撲」は「慢性硬膜下血腫」の危険性があるため「暴行を受けた昨年10月26日の受傷から3か月程度」は「就業は困難」と記されていた。昨年12月20日の危機管理委員会の報告書では同月5日から入院中。診断書なしで休場した場合は、幕下陥落となる見込みだったが、診断書が出たことで救済措置が取られ、貴ノ岩は3月の春場所(3月11日初日・エディオンアリーナ大阪)は、十両最下位に残ることになる。

 昨年の冬巡業は慣例破りとなる診断理由なしでの休場。協会関係者によると、実は同巡業後に貴ノ岩側は診断書を提出していたという。だが「不備があった。診断も『疑い』で全治も書いていなかった」(関係者)と受理できる内容ではなかった。協会は被害者を十両にとどめる救済措置を設けた一方で、今回こそは、“きちんとした”診断書の提出にこだわった。

 もし診断書が出せないなら強行出場か幕下落ちの2択となっていた。弟子を守る信念で行動していた貴乃花親方にとって、傷が癒えないまま弟子を土俵に上げるか、無給の幕下の身にしてしまうかという最悪の2択だったが、それも診断書提出で避けられた。渦中の関取は、春場所での復帰を目指すことになった。(網野 大一郎)

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