式守伊之助3場所出場停止、処分明け辞職の理由…八角理事長「反省する時間与える」

スポーツ報知
臨時理事会に出席する立行司・式守伊之助

 日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、10代の行司にセクハラ行為をした立行司の式守伊之助(58)=宮城野=に、初場所(14日初日・両国国技館)から3場所の出場停止処分を通達した。伊之助は12日に協会へ辞職願を提出。今年夏場所(5月13日初日・両国国技館)後に受理され、辞職する。年明け早々に決着した元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題に続き発覚した不祥事。土俵上では横綱・白鵬(32)=宮城野=の乱暴な取り口が批判を浴びるなど、ゴタゴタ続きで新春の場所が幕を開ける。

 臨時理事会後、八角理事長(元横綱・北勝海)が伊之助への処分内容を発表し深々と頭を下げると、記者会見場の空気が張り詰めた。初、春(3月)、夏(5月)の各場所だけでなく4月の春巡業も出場停止。約4か月半の自宅謹慎を命じた上で辞職願を受理する。しかもこの間は無給。「立行司で58歳という年齢を考えても、本人の責任が重いと思います」と同理事長は最高位の立行司が起こした不祥事の重大さを強調した。

 場所前日の国技館には重々しい空気が充満していた。恒例の土俵祭りでは三役格行司の式守勘太夫(高田川)が祭主を務める異例の事態。「立行司の代役。やる以上は力士がけがをしないように心を込めました」と粛々と祝詞奏上などをこなした。その後の理事会の場に、関係者に誘導されて入った神妙な表情の伊之助の姿があった。

 12日には部屋の師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)と理事長を訪ね、辞職を願い出たが受理されなかった。「反省する時間を与えたいということ。本人にもこの時間の間に反省するように伝えました」と理事長は説明。元横綱・日馬富士関が暴行問題を起こし引責引退。現場に同席した白鵬、鶴竜(井筒)の現役横綱2人も初場所は無給の処分を受けて“ただ働き”する。さらに今回のセクハラ問題。不祥事が続き、協会は昨年まで3年続いた初場所の天覧相撲を辞退した。

 昨年12月の冬巡業中に被害を受けた10代の行司は被害届を警察に出す意向はなく、保護者も処罰を望んでいないという。それでも立行司を簡単に辞めさせない非情な決断を下した。「酒を飲んでの不祥事が繰り返されないよう、協会員への指導、教育を徹底いたします」と八角理事長。協会はハラスメント対策も含めて再発防止策を強化する意向で、行司、呼び出しなど個別の研修会も開催する準備がある。宮城野親方、巡業責任者の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)にも厳重注意。重苦しいムードで初場所の幕が開かれる。

 ◆式守 伊之助(しきもり・いのすけ)本名・野内五雄。1959年12月23日、大阪府岸和田市生まれ。58歳。宮城野部屋。「吉之輔」を名乗って75年3月場所で初土俵。91年1月場所で十両格、2005年9月場所で幕内格に昇進。11年に三役格を経て、13年11月場所で第40代を襲名。15年3月場所で第37代木村庄之助氏が引退したため、現在は一人で立行司を務めていた。

 ◆式守伊之助の不祥事

 昨年12月16日、伊之助は沖縄県宜野湾市での冬巡業後に泥酔。宿泊先で若手行司にキスを数回するなど精神的苦痛を与えた。事実関係は協会危機管理委員会が調査していた。

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