伊之助代役の式守勘太夫、初日から大失態の差し違え「醜態をさらした」

スポーツ報知
貴景勝(手前)のとったりで敗れた稀勢の里と差し違えた式守勘太夫(左)(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲初場所初日 ○貴景勝(とったり)稀勢の里●(14日・両国国技館)

 横綱・白鵬(32)=宮城野=は、横綱審議委員会(横審)が観戦する前で、批判を受けた立ち合いの張り差し、かち上げを使わずに小結・阿武咲(おうのしょう、21)=阿武松=を突き落とし、白星スタートを決めた。元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題をめぐる言動などで悪役扱いとなったが、動揺も見せなかった。セクハラ行為で3場所連続出場停止の後に退職する立行司・式守伊之助(58)=宮城野=に代わり、残り2番を裁いた三役格筆頭の式守勘太夫(58)=高田川=はいきなり軍配を差し違える失態を犯した。

 まさかの行司差し違えに両国国技館がどよめいた。結び前、4場所連続休場からの復活を期す横綱・稀勢の里と新小結・貴景勝の一番。貴景勝が左のおっつけで巻き返した横綱の右腕を両手で抱えながらほぼ同時に土俵下へ。処分を受けた式守伊之助に代わって行事を務めた三役格行司筆頭・式守勘太夫の軍配は、稀勢の里に上がったが、即座に物言いがついた。

 審判団の協議の結果、藤島審判長(元大関・武双山)は「稀勢の里の左ひじが先についている」と会場に説明。伊之助が謹慎中となり、残り43人いる行司の代表に“昇格”して、いきなりの不手際。勘太夫は「醜態をさらした。自分では確信を持って(軍配を)上げたが…」。立ち位置が横綱の後方だったこともあり、八角理事長(元横綱・北勝海)は「ああいうところにいるからダメなんだよ」と苦言を呈さざるを得なかった。

 15年九州場所7日目には、伊之助が白鵬―隠岐の海の一番で2場所連続3度目の軍配差し違えをして3日間の出場停止処分を受けた例もある。立行司が差し違えた場合は、打ち出し後に審判責任者とともに理事長室へ進退伺を出しに行くが、勘太夫の階級はあくまで「三役格」。差し違えた場合は腹を切る覚悟を示す脇差しも身につけておらず、この日も理事長室には向かわなかった。

 過去に2度、代役として結びを裁いた経験もあり、「平常心を心がけた」という勘太夫。2日目も初日同様、結びまでの二番で横綱の取組に立つ予定だ。

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