元幕内・双大竜が涙の引退、角界不祥事やケガに見舞われるも支えてくれた人に感謝

スポーツ報知
双大竜(左)の引退会見代表質問で号泣するNHKの三瓶宏志アナ(右)

 大相撲の元幕内で13日に引退を発表した元双大竜(35、本名・高橋亮三)が16日、東京・両国国技館内の記者クラブで、師匠の時津風親方(44、元幕内・時津海)同席のもと、引退会見を行った。昨年9月場所で三段目に落ちて引退を決意。「負けても悔しくない状況になり、師匠に『本場所で相撲を取る気力がなくなった』と伝えました」と語った。

 07年6月に時津風部屋内で発生した力士暴行死事件や、角界を揺るがした10年6月の野球賭博事件などがあった中、3度手術した両ひじや、首のけがと戦いながら踏ん張ってきた。元双大竜は「(現役生活での)13年間、部屋でもいろいろなことがあって…。自分でも精いっぱいできたのは支えてくれた家族や支援者のお陰です」と語った。

 東日本大震災の被災地、福島市の出身でもある。故郷への思いを聞かれると、声をつまらせ「大変なことが起きて、被災された方々といっしょに頑張っていこうという思いでやってきました」と涙を流した。師匠は「体がちっこくて気持ちで相撲を取ってきた力士。こつこつと真面目に一生懸命やってきて、良く頑張ったと思う」とねぎらった。

 05年4月に時津風部屋に入門し、同年5月場所で初土俵。最高位は13年3月場所の西前頭15枚目。09年9月場所で新十両に昇進したが、わずか1場所で陥落。

 思い出の土俵には、10場所ぶりに十両に復帰した11年5月場所を挙げた。11年2月の八百長問題などを受け、3月場所が戦後初めて中止に。その後、自粛により「技量審査場所」として行われ、11年3月11日に発生した東日本大震災後の場所でもあった。「新十両、新入幕と特別な場所はありますが、再十両を決めた技量審査場所は特に思い入れが強いです。相撲界も大変な時期だったし、実は一番最初に辞めようと思った場所でもありました。何よりも、被災地の方々へ、精いっぱい相撲を取ってる姿を見ていただきたかった」

 全盛期は179センチ、156キロ。細い体での真っ向勝負が信条だった。立ち合いでの変化も「生涯、一度もなかったです」と胸を張って言い切った。「結果はどうあれ、常に精いっぱい相撲を取るんだという気持ちでやってきました。(東日本大震災後は)立ち合いで変わらず、正面から当たって勝つ姿を見せたいという思いがよりいっそう強くなりました」。

 第二の人生は未定だが、柔道整復師などへの転身を考えているようで、「相撲界で耐え、学んできたことを生かせるような道に進みたい」と語った。

 通算成績は351勝340敗20休(76場所)。幕内は在位1場所の4勝11敗。引退断髪式は2月3日、両国国技館で行われる。

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