白鵬、初の屈辱 因縁の相手・嘉風に敗れ2日連続金星配給 左足まで痛め休場危機

スポーツ報知
嘉風(右)にはたき込みで敗れた白鵬(カメラ・酒井 悠一)

◆大相撲初場所4日目 ○嘉風(はたき込み)白鵬●(17日・両国国技館)

 横綱・白鵬が因縁の相手に連敗して休場危機に追い込まれた。昨年九州場所11日目に敗れ、前代未聞の“待った強要”をして批判を浴びた前頭2枚目・嘉風にはたき込まれて2連敗。今場所初日の稽古で痛めた右足親指に加え、この日の取組で左足も負傷し5日目以降の出場に暗雲が漂ってきた。白鵬の連敗は昨年初場所14日目、千秋楽以来1年ぶり。07年夏場所後の横綱昇進後2日連続での金星配給は初の屈辱となった。4日目を終えて無敗は横綱・鶴竜、大関・豪栄道、関脇・御嶽海と平幕の栃ノ心、朝乃山の5人。

 2日続けて白鵬の頭上を座布団が舞った。相手は先場所、おきて破りの「自ら待った」で醜態をさらすことになった嘉風。左のど輪を外されて押し込まれると、両足がそろった次の瞬間「入ってしまったね」と左足が流れてバランスを崩してバッタリと両手をついた。まさかの連敗。18個目の金星を献上。しかも関脇以下の同じ相手に連敗したのは16年春場所、名古屋場所の宝富士以来の屈辱に唇を突き出して土俵を降りた。

 「狙いどうこう、ないね。いいところがない。心と体のバランス? 多少ズレもあるかな」。支度部屋ではビニール袋に入れた氷を左足に置いていた。今場所初日の稽古で痛めた右足親指に続いて左足親指も負傷。「06年にやった(痛めた)ところだから」。帰り際には付け人の肩も借りて引き揚げた姿には、演技とは思えない深刻さが漂っていた。

 先場所11日目。意表をつく遅れた立ち合いに後手を踏んでもろ差しから一気に寄り切られた。当事者の力士が物言いを主張するルール違反を犯し、強烈に批判された苦い思いも頭をよぎったのかもしれない。4日連続で横綱審議委員から注文がついた張り差しとかち上げは“封印”も、藤島審判長(元大関・武双山)は「立ち合いの問題ではなく体調面。足が出ない、どこか悪い」と異変を指摘。師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は「そういうところを直そうとして崩れているのでは」と思いやった。

 「やってみないと分からない」と言い残して戻った東京・墨田区の部屋では師匠と相談。「冷やして腫れが引くのを待っている。引かないなら朝一で病院に行く可能性がある、おそらくそうなる」と同親方。5日目朝の状態を見て出場の可否を決めるが、4日目までの2敗は5日目から休場した昨年春場所と同じ。41回目の賜杯どころか、白鵬が休場のピンチに追い込まれた。(網野 大一郎)

 ◆昨年九州場所の白鵬―嘉風戦

 立ち合いで左張り差しが効かず、もろ差しから寄り切られた白鵬は不成立を主張。土俵下で右手を上げてアピールし、審判から促されても土俵に戻ることを拒否。勝ち名乗りが済んで打ち出しの拍子木が鳴ると土俵に居座り、合計62秒間も“駄々をこねた”。審判規則では物言いが許されるのは5人の勝負審判と控え力士だけで明らかなルール違反。翌日(11月23日)、審判部に呼び出されて厳重注意を受け、場所後の理事会(同30日)の朝にも呼び出されて師匠の宮城野親方とともに八角理事長(元横綱・北勝海)から厳重注意を受けた。

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