栃ノ心、平幕14年ぶり単独トップ 騒動何の春日野部屋46年ぶり賜杯へ「自分の相撲を取るだけ」

スポーツ報知
栃ノ心(左)は寄り切りで玉鷲を破り、1敗を守った(カメラ・森田 俊弥)

◆大相撲初場所12日目 ○栃ノ心(寄り切り)玉鷲●(25日・両国国技館)

 前頭3枚目・栃ノ心が単独トップに立った。前日に4年前に起きた部屋での傷害事件が発覚した影響を感じさせない力強い相撲で、1敗を死守。結びで横綱・鶴竜が連敗して2敗に後退したため優勝争いの先頭に躍り出た。12日目を終えて単独トップは自身初で、平幕では2004年夏場所の北勝力(現谷川親方)以来14年ぶり。春日野部屋では1972年初場所の初代栃東以来46年ぶりの賜杯が見えてきた。大関・高安は5連勝で優勝戦線に踏みとどまった。

 初の賜杯へ、はやる気持ちが抑えきれなかった。呼吸が合わず3度目の立ち合い。栃ノ心は強烈なのど輪を食らって顔を紅潮させながらも、玉鷲の圧力をはね返した。最後は万全のもろ差しで寄り切って今場所2度目の5連勝で11勝目。「気がついたら(相手の)中に入っていた。前に出られたことが良かった」。勝ち残りの土俵下ではじっと腕組みして、鶴竜が敗れた結びを見届けた。

 ついに優勝争いの単独トップに躍り出た。前日には所属する春日野部屋の過去の傷害事件が発覚。周辺は騒然となった。取組後には報道陣から影響について質問されても「これから大事な3日間になるので、そういうのはあまり考えない。自分の相撲を取るだけ」と返した。この日も四股など通常通りの朝稽古。13年名古屋場所で右膝を大けがし、一時は幕下陥落の要因となった患部をアイシングでしっかりとケアした。

 昨年10月に30歳となった。右膝をいたわって巡業中は菜食とヨーグルト中心の食生活で減量を試したこともある。以前はウォッカなどを愛飲していたが、「飲んだ翌朝に膝がパンパンに腫れてしまうし、痛い。ここ1、2年でやめた」と、場所中は禁酒に徹してコンディションを維持している。

 名門・春日野部屋から46年ぶり幕内優勝力士誕生へ期待も高まる。国技館を出る際にはファンの握手、サイン攻勢にも快く応じた。「迷いなくやれている。稽古もしっかりできているし疲れもない。連勝していれば心も体も軽い。また明日」。平常心を保ち土俵に集中する。(小沼 春彦)

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