貴乃花親方、捨て身の出馬で切り崩しなるか…一門は阿武松親方に一本化

スポーツ報知
一門会の会合を終え飲食店から出る貴乃花親方

 日本相撲協会は1日、2年の任期満了に伴う理事候補選挙(理事選)の立候補を受け付け、定数10人に対して貴乃花親方(45)=元横綱=ら11人が届け出た。2日に投票が行われることが確定。2人が出馬した貴乃花一門は1日に投票前最後の会合を開き、投票先を阿武松(おうのまつ)親方(56)=元関脇・益荒雄=に事実上、一本化することを再確認した。持ち票が自身の1票だけの貴乃花親方は信念を問うために出馬はするが、既に落選することは受け入れており、思いを託した同門の親方にエールを送ったという。

 2人が出馬した貴乃花一門が持つ11票(一門内8+無所属3)は、総帥の貴乃花親方の1票を除いて初出馬の阿武松親方に集める。1日午前の立候補届提出の後、夕方から3時間以上に及んだ緊急会合ではその方針が再確認され、票を奪い合うような殺伐とした空気はなかったという。「票固めではない。ツンツンしていたら集まらないよ」と出席したある親方は証言した。

 理事選の当確ラインが9票。そもそも総数11票の貴乃花一派から2人を擁立するのは無理があった。年明け最初の会合の17日の時点で阿武松親方への一本化は、ほぼ決まっていたという。元横綱・日馬富士関の暴行問題の流れで理事解任処分を受けていた貴乃花親方は、出馬辞退を一門内の総意で勧められたが突っぱねた。「みんな心苦しいものがあるが、本人は『1票でいい』と。だから丸く収まった」とは協会関係者。一門は決して分裂しておらず、結束は固いことを力説した。

 むしろ貴乃花親方は、当選した暁には理事として一門を代表する阿武松親方に会合で助言したという。“野党”の立場で理事会に出席した際の雰囲気や妥協すべきではないことをアドバイス。ワイン、シャンパンを飲みながら熱弁し、大いに語り合ったという。「にこやかに相撲界の未来を話し合った。愛される相撲界にしようとね」と阿武松親方は語った。

 この日までに情勢は見えていたが、貴乃花親方は立候補の意思は変えなかった。「無風状態が良くない。『選挙はしなければダメだ』と厳しく言っていた」(関係者)。敗北が見え、捨て石となろうとも、選挙という公平な形で理事を選び、信念を問うという考えは曲げない。立候補届は理事選出馬者11人の中で一番最後に提出。「出しました。気持ちは? 変わらずです」と不退転の決意。切り崩しをはかる伊勢ケ浜一門など、瀬戸際で共鳴する親方が出れば情勢は変わるが、現実は厳しい。元・平成の大横綱は運命の日を、どんな思いで迎えるのか。

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